■嫁おどし肉付き面
私はこんな体質だからだか、旅行先でも妙なものに出くわすというか、導かれる事も多いようで…。数年前に、北陸地方に旅行に行った時に出くわした面白いものを紹介しようと思う。 福井県坂井郡金津町の吉崎御坊…。この地には”嫁おどし肉付き面”という世にも恐ろしい面が奉納されている…。TVや雑誌等でも紹介されているからご存知の方も多いと思いますけどね。この面の由来というのが…。
本願寺光佐蓮如…いわゆる蓮如上人が吉崎で親鸞さんの教えである浄土真宗の布教を始めて2~3年すると、北陸・信越・東北等各地から上人の元へ参拝される人たちが後を絶たなくなったそうだ…。
その頃の話なんだけど、吉崎から南へ8キロ離れた十楽村という所に与三次とキヨという夫婦が住んでいた。彼らは大変働き者で、慈悲深く昼は田畑で働き、毎夜歩いて吉崎まで蓮如上人の説法を聞きに行くくらい信心深かったという…。ところが、その姑は彼らの姿を見ても信心しないばかりか、その信仰を快く思っていなかったから、息子夫婦の信仰を邪魔しようと考えていた。
そんな文明6年(1474年)3月21日、与三次が用事で外出したため、この日は嫁のキヨだけが吉崎にお参りに出掛けたという…。姑は「今日こそは!」と思い、氏神さまに奉納してあった鬼女の面を持ち出し、それを被りキヨの帰り道を谷で待ち伏せして、おどすのだが、キヨは少しも驚かず、「食らうなら食らえ!殺すなら殺せ!でも、私が信じた信仰心は決して失せる事がないぞ!」と言い、「南無阿弥陀仏」を唱えながらその場を立ち去って行ったという…。おどしに失敗した姑はキヨの先回りをして、一歩先に家に帰り、面を取ろうとしたんだけど、その面が顔にくっついて離れず、段々手足も動かなくなり、悶絶していた…。そこに帰って来た与三次とキヨに姑は鬼女の面を被った自分の姿を見つかってしまう…。
深く反省した姑は上人に相談し、心から改心・信仰心を持つ事を約束し、上人が「南無阿弥陀仏」を唱えた途端、不思議とその面がポトリ…と落ちたそうだ…。多少、無理して取ろうとしたせいか、その面に肉と毛髪がついてしまった!という話もあるらしい…。

見た目は面という事もあって、かなり気色悪い代物ではあるんだけど、浄土真宗や蓮如上人のありがたさに触れたい方や興味のある方は、一度吉崎御坊のほうへ足を向けてみてはいかがでしょう…。