■人造人間
人造人間と言えば、まず思い浮かぶのがフランケンシュタイン博士が造り出した怪物を皆さんも想像しますよね?1818年イギリスの女性作家メアリー・シェリーが執筆した、奇怪な物語がベースにあるんだけど、皆さんもよく知っているように、色々な死体のパーツをつなぎ合わせて造られた怪物に電流を流すと死体が違う人格として生き返るというものですよね…。 10年くらい前になりますけど、映画の「フランケンシュタイン」では怪物役のロバート・デニーロの演技も手伝って人間以上に人間くさい哀愁に満ちた怪物像を見せてくれるので、今見ても見ている者に恐怖より悲しみや哀れさを与えてくれる作品ではないでしょうか?私も大好きな作品なんで、興味のある方や泣きたい方は見てみて下さいね。(笑)
ところで、実は日本でも人造人間を現実に造った人物がいる事を皆さんはご存知だろうか…?平安時代から鎌倉初期にかけての歌人として名高い”西行”が、密かに人造人間らしいものを造った!という記述が仏教説話集、「撰集抄」の中に(西行、高野の奥において人を造ること)というエピソードが記されている…。高野山の奥で仏道を修行していた西行が、ある時、一人きりの寂しさをまぎらわすために、「ここは一つ人間を造ってみよう!」と思ったんだそうだ…。修行ってそんなものと違うんかい!って突っ込み入れたくなりますけどね。鬼が死者の骨を取り集めて人間を造り出す!という話を思い出したようで、いくらかは秘術の心得もあった彼は広野に出て人体各部の骨を丹念に拾い集め、数日後にとうとう人間を造ってしまったという…。

それでも何故失敗したのか気になった彼は、京に上ると秘術の大家である伏見前中納言・師仲の所へ行って意見を求めたそうです…。師仲は平然と「まぁ、お前さんのやり方も悪くはないが…香を焚いたのが失敗の元じゃ。」「私などはこれまでに何度も人間を造り、中には大臣までになっているものもいるが、名前を明かす訳にはいかぬ!明かせば造った人間も、造られた人間も、煙のように消え失せてしまう…」と言ったそうだ。これが事実だとすると、人造人間を製造するのは可能だということでしょうか?もしくは師仲が大ホラふきなのかは定かではありませんが、師仲は西行に正しい人造人間の造り方を伝授したようなの…。
ところが、伝授された西行は二度と人造人間を造ろうとはしなかったようです。おそらく西行は、人造人間を造りだす行為に、何か悪魔的な不安や恐怖や限りある命の尊さを感じたのではないでしょうか…?そう思わずにはいられません。