■「うどん」を考える
私は学生時代までは「うどん」が嫌いだった。
うどんを食べると、なぜか頭が痛くなるのだった。
うどんと頭痛の医学的な関係は分からないが、とにかくいつも頭が痛くなった。だから、なるべく「うどん」は食べないようにしていた。
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幸いに我が家では両親ともにうどんが好きでなかったせいか、食事にうどんが出ることは無かった。ところが社会人になって昼飯を外で食べるようになったので、麺類を食べるようになった。
特に蕎麦やスパゲッティが多かったが、付き合いで「うどん」も食べてから慣れて来たのか、もう頭痛は起きなくなった。
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その後、結婚してから益々、麺類を食べる機会が増えた。
父親が関西出身の女房は「粉もん」が好きである。
「粉もん」というのは関西弁で、「粉物」と書き、小麦粉で出来た食べ物のことで、うどん、たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、などのことを言う。
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「鬼ひも川うどん」だけでも750円は安いか?高いか?
以前にうどんの好きな女房と一緒に、四国へ「うどん食べ歩き旅行」に行ったこともある。うどんは単純な食べ物だけあって講釈を言う人も多いし、四国出身の人に喋らせたらキリがない。
そんな人(Xさん)がマンションに住んでいる。彼はうどんの本場の香川県の出身で、デジカメクラブで一緒である。
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この近くにはうどんチェーン店の「はなまるうどん」と、「丸亀製麺」がある。他にも時々、新規開店があるが、しばらくすると閉店している。
うどんは単価が安いので、銀座で商売するには無理があるのだろう。
そんな時に深川の森下で「こがね製麺所」という讃岐うどん屋を見付けた。
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外観は小奇麗で、暖簾も清潔で「これなら美味しいかも・・」と思わせる風情がある。こがね製麺所をネットで調べたら本店は香川県丸亀市にあり、正統派のうどん屋のようだった。
そこで四国出身のXさんを誘って、本場人の評価をしてもらうために食べに行くことにした。
場所は大江戸線の森下駅を降りて、新大橋方面に向かってすぐである。
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私は少し前に1人で下見に行って「並ざる」を注文して驚いた。
なんと玉が2つも出て来た。
そこで今回は「小かけ」と天ぷら1品を注文した。本場人のXさんの評価は「ここは美味しい。また来たい」だった。
人は誰でも食べ物の話をしている限り、揉め事も無く平和である。
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(おまけの話)
小金井に住んでいた時に、会社の近くに「平作」という「うどん屋」があった。女性だけで経営していて、店の構えは昔の農家を改造したように見えた。
駅からは遠いが車で来るお客ばかりで、いつも賑わっていた。
広い店内はテーブル席と座敷があり、昼時は順番待ちをすることもある。
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ここのうどんは手打ちで、オーナーが自分で打っているようだが見たことは無い。メニューは多くなく、うどん自体に自信があるらしく、「もり」と「かけ」が中心だ。
お客も夏は「もり2枚」、冬は「なべ焼きと、もり1枚」を注文する人が多い。特に「もり」は絶品で、ここ以外の店でもっと美味しい「もり」に出会ったことがない。
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「あのもりをもう一度、食べたい」といつも思っているのだが、もう車の免許証も無いので、そこに行くには新宿に出て西武線に乗り換えて花小金井駅で降りる。そして20分くらい歩かなければならない。
家からは2時間は覚悟が必要だ。小さな夢だが、あの「うどん」をもう一度、食べるのが今の夢である。
こんな小さな夢なら「すぐに食べに行ったら?」と言われそうだが、「夢はいつまでも夢であることが大事」なのである。
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