■ベトナムの「うんちコーヒー」
私が特別顧問をしているベトナムの会社であるESUHAI社の社長が、家族を連れて東京に来た。ソン社長とは時々、会っているが、彼の家族とは久し振りである。
奥さんも長女も変りなかったが、長女は大人になり掛けで反抗期に入っているらしい。それより驚いたのは、家族と一緒に半年前にベトナムに戻ったばかりの元実習生のJUNちゃんが来ていたことだ。
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みんなでお茶をしながら、ソン社長は新しい会社の計画を熱く語っていた。2年先に完成を予定している新校舎のイラスト図を見せてくれて、「今回は12階建てで、地方からの生徒の宿舎も併設する。生徒数は4000人を予定しているので、今までの校舎と合わせると6000人の生徒数になる」と話していた。
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「新校舎の落成式には是非ともベトナムに来て欲しい」と言っていたが、私は「その時に生きていたらね!」と答えておいた。
私のお世話した外国人が成功の階段を上って行く姿を見るのは嬉しい。
私にはもう1人、台湾人で途中まで成功した男を面倒見ていた経験がある。彼は自分の成功を過信して私の話を聞かなくなり、最後は結局、私が弁護士を雇って破産手続きまでした。
この男を知っているソン社長は、とりあえず私の話だけは聞いてくれる。
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ここから「うんちコーヒー」の話になる。
いつものように、ソン社長はベトナムから色々なお土産を持ってきてくれた。お土産を選ぶのは誰でも難しい。
希望を言ってくれれば、これは助かる。
私はベトナムのお土産はあまり欲しくないので、いつも「お土産の心配はしないで!」と言っている。
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それなのに、今回もベトナムのお菓子とコーヒーを持って来た。
コーヒーの袋を見たら、なぜか動物の「イタチ」の絵が描かれている。
そして「WEASEL COFFEE」と言う文字が見えた。
これを直訳すれば、「イタチ・コーヒー」である。
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私はベトナムに詳しいつもりでいたが、「イタチ・コーヒー」は知らなかったのでネットで調べてみた。
するとこれは「ジャコウネコにコーヒー豆を食べさせて糞から採取する未消化のコーヒー豆で、産出量が少なくかなり高価なもの」のようだ。
「うんち」から取り出すから「うんちコーヒー」と言うらしい。
これを2袋も頂いたが、説明書きがベトナム語なので私は読めない。
本物かな?
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しかしネット情報によると、本物の「うんちコーヒー」は生産量も少ないので、ジャコウネコの大腸の中と同じ状態を人工的に作り出して発酵させたコーヒー豆が多いようだ。
でも大会社の社長がわざわざ私にプレゼントしてくれたのだから、多分、本物だろう。・・・と思いたい。
ある朝に、この豆のコーヒーを飲んでみたが、「うんち」の匂いはしなかった。「美味しいか?」と聞かれれば、「人それぞれに好みがあるからなー」としか言えない。
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(おまけの話)
来日中は仕事で忙しいソン社長の代わりに、私は長女とJUNちゃんを東京観光に案内した。何回も日本に来ている長女と、実習生の時に東京中を観光したJUNちゃんの為に今回の観光は「レトロの東京を探す」というテーマで、JR大塚駅で待ち合わせて都電荒川線の旅にした。
この日の観光は都営交通1日乗車券を買い与えて、全て都営交通で巡ることにした。
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私はもう飽きるほど多くの人を、何回も荒川線の旅に案内した。
今回は大塚駅から荒川線に乗り庚申塚→巣鴨地蔵通り→高岩寺の洗い観音→荒川線→三ノ輪橋→レトロな商店街で「天ぷらそば」→荒川線→熊野前→舎人ライナー→日暮里→(都バス)浅草→地下鉄→東銀座→(都バス)有楽町→(徒歩)日比谷ミッドタウンの駆け足観光だった。
しかも交通費は都営交通1日乗車券を買ったので、たったの700円だけだった。
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JUNちゃんは埼玉県のパン屋で3年間の実習生生活をして、昨年、ベトナムに戻った。そして日本風のパン屋でパン職人として働き、店からは多いに期待されていたはずである。
以前に彼女からのメールで、「日本と違い、パンを作る時に手が荒れてしまう」と連絡があった。どうやらベトナムのパン原料の粉には添加物が相当に入っているのか、それが影響しているようだ。
結局はそれと長時間の労働に耐え切れず店を辞めてしまい、今はソン社長の家でお手伝いさんをしている。
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