■1000万本のポピー
テレビのニュースで、『アヘンの原料になるケシを花屋が売ってしまった。神奈川県の農業技術センターに問い合わせたら、これはアヘンを採るケシではない』と、お墨付きを得たからだと言っていた。 そんなニュースが流れる頃だから、今はアチコチでポピーの花が咲いている。
そんな中で、凄いのは埼玉県東秩父にあるポピーの名所である。なんと1000万本のポピーが植えられているのだそうだ。
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数が多いと聞くと、どうしても見たくなるというのは困った性だ。
そこで、満開の時期の週の初めの月曜日に行ってみた。
ところが、最近は平日でも安心できない。
リタイアした人達が元気にウロウロし出したので、どこへ行っても車、車、車、そして人、人、人である。
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関越道を嵐山ICで降りて、かなり走り、更に細い山道をクネクネと登って行った不便な場所にその花園はある。
ここは秩父高原牧場の牧草地で、埼玉県の所有である。
この時期だけの、広い臨時の駐車場に車を停める。
こんな山奥の駐車場に、整理員が2人も出ているので驚く。
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駐車場のすぐ目の前がポピー畑である。
かなり広い丘陵地帯にポピーが一面に敷き詰められている。
でも、最近は「いわしが5万匹」とか、「ネモフィラが450万本」などという数の多い物を見慣れたせいか、1000万本のポピーにも驚かなくなってしまった。これは少し寂しいことである。
人間というものは、更なる刺激が無いと満足しなくなってしまう。だから、薬物常習者は麻薬から抜けられないのだろうと思った。
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(おまけの話)
かなり前のことだが、タイ北部のミャンマーとの境にある中国人村に行ったことがある。
ここに住む中国人達は毛沢東に追われて中国を離れ、台湾に逃れた蒋介石に合流すべく、陸路を南に向っていた軍隊である。
彼らはそこでタイ軍と衝突し、それ以上は進めなくなり、そこに定着したという歴史がある。
そして、そこで彼らは少数民族のカレン族を使って、ケシを栽培し、アヘンに加工して麻薬を売る組織となっていた。
ここが悪名高い、麻薬地帯のゴールデントライアングルである。
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私が行ったその当時は、ここに住む中国人達が武装解除をしてタイ政府と和解して2年目だったので、まだ不穏な空気が漂っていた。
店ではアヘンの吸引道具も売られていたのだから、まだアヘンはその辺にゴロゴロしていたのだろうと思う。
今から思うと、ずいぶんと危険な場所に行ったものである。でも、そういう場所には先進国には無い面白さもあった。
今でもそういう場所に興味はあるが、もう体力的にも無理になってしまった。あの時に行っておいて良かった。・・・のかなー?