■伊達からやって来た芸術家
伊達市は武家が拓いた町であるが、芸術の町でもある。 私の知らない隠れた芸術家は沢山いて、特に大滝地区に多い。
そんな大滝地区から漆器作家の府川晃さんが上京した。
4月28日から六本木の国立新美術館で開催される『国展』に作品を出展する為に、その準備でやって来たのである。
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そして国展の準備で忙しい中を、19日に新宿で待ち合わせた。私より先に来ていた府川さんは、私の予想に反して、すっかり新宿の町の風景に溶け込んでいた。
元々は小田原の出身だが、長い北海道生活で、もうすっかり北海道人になっているものと思っていた私の思い込みがあったからである。
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駅からほど近い天麩羅屋の『船橋屋』に行く。
ここは伊達の長老Kさん夫妻を案内して、大変に喜ばれた店である。
カウンター席で食べる天麩羅に、府川さんもやはり喜んでくれた。
酒を飲まない府川さんと私は、すぐに食事を終ってしまう。
そこで夜の町を徘徊しながら、歌舞伎町に行く。
元コマ劇場の前には黒服、茶髪、長髪のスカウト男が驚くほど大勢いて、獲物を狙っている。
怪しい猥雑な雰囲気が漂い、危険な匂いがする。
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李朝文化に造詣の深い府川さんの希望で、歌舞伎町から更に裏に廻り、新大久保のコリアタウンを見学する。
途中でお茶をして、新宿駅西口の恒例の思い出横丁を通り抜けて、小田原の実家に帰る府川さんと駅で別れた。
短い時間だったが、喜んでもらえただろうか?
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4月28日(水)には国立新美術館で府川さんの作品を見る予定だ。
(おまけの話)
府川さんが上京する前に私に送ってくれた封筒には、国展の招待券と一緒に『Qちゃんファーム通信』の第一号が同封されていた。
Qちゃんとは言わずと知れた、シドニー五輪女子マラソンの金メダリストの高橋尚子である。
彼女は現役の時から『食はアスリートの仕事の一つ』、と言っていたそうで、現役を引退した今でも食の安全に付いては関心が高いそうである。
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それが今回の大滝地区での『Qちゃんファームとなって実現した』とそこに書いてあった。
東京近郊の地価の高い場所で農業をしている人は、なにかと恵まれているが、地方で農業をやっている人達は大変な苦労をしている。
今回のプロジェクトが巧く行き、もっとみんなが農業に関心を持ち、更に安心な農産物を高く買ってくれるようになることを願わずにはいられない。
なにしろ私も名前だけだが、イコロ農園の理事長であるのだから、農家を代表して意見を言わなければならない立場なのである。
それに自宅には1坪農地もあるしなー。
私は是非とも、この夏にはQちゃんファームを訪問してみようと思う。