■台湾グルメ旅(4日目)・・・最終日
(2015年12月28日) ホテルの朝食はバイキング方式である。
1日目は洋食、2日目は和食を食べたので、最終日は中華料理とする。
ウーロン茶をもらい、「お粥」をメインにして中華料理のおかずを食べる。3日目ともなると、朝食レストランの係員も顔馴染みとなり、愛想が良い。

朝食後は1人で散歩に出る。
前から気になっていた「檳榔(びんろう)売り」の店の写真を撮りに行く。
私と台湾との関係は45年ほど遡る。
それ以来、10回以上は観光、仕事で来ているが、今回の旅行で檳榔売りが目立たなくなったのが気になっていた。

以前はセクシーな服装の若い女性が檳榔を売っていたが、今回は全く目にしない。
ホテルのフロントで聞いたら、「市内にはいなくなったが、郊外に行けば、今でもいますよ。ご案内しましょうか?」と言われた。
そこまでしてもらう必要も無いので、1人でホテルの近くで探しに行く。

日本の歩行者用信号と違い、青色の人がアニメーションで歩く。
残り時間が30秒を切ると、そのアニメが早足になるのが可笑しい。
檳榔を売る店は何軒かあったが、どこもセクシー女性はいず、暇を持て余しただらしない感じのオバサンがいるだけだった。郊外の主要道路の脇には、争うようにピンクのネオンにセクシーガールがいたあの頃が懐かしい。

セクシーねえちゃんがいないので、ホテルへ戻る途中で目に入ったお寺に行ってみる。道教のお寺はアチコチにあり、日本の神社の感覚と考えれば良いと思う。
境内にはオバちゃん2人がいて、おしゃべりに夢中だ。
私は棚で目に付いた「あの世のお金」を買いたいと思い、オバちゃんに声を掛けた。

全く言葉が通じず困っていたら、そこに日本語をしゃべるオバサンが登場した。
私は「あの世で使うお金が欲しい」と言うと、オバサンは「100元をこの箱に入れろ。それで6本のお線香と、あの世のお金を渡す」と言った。
オバサンの言うがままにして、神様にお祈りもして、お札を持ち帰ることになった。

窓の外に違法の出窓を作っている。そこに洗濯物を干す場合が多い。
オバサンは近くのお茶屋の主人で、「最近の日本人はお金を使わなくなった。昔は600グラムのお茶を買ってくれたのに、いまじゃ100グラムよ!。あの頃は儲かって良かった」と愚痴っていた。
慰める言葉もなく、「今じゃ、日本でもウーロン茶はたくさん売っているからねー。お土産に買う人も少なくなって来たんだと思うよ」と小さな声で言ったのである。

(おまけの話)
帰国の飛行機の出発までの時間があったので、3人で近くの三越デパートに行った。以前から気になっていたのだが、1階入り口にアイスキャンデーの店があり、写真で見る限りではとても美味しそうだった。
デパートの開店時間は午前11時なので、入り口で少し待つことにした。

そこにいたガードマンと話をした。
日本語が上手なので、「日本語が上手ですねー。日本語能力試験でN1ですか?」と聞いた。
その返事に驚いた。「私は日本生れ、日本育ちで、龍国大学卒です。オヤジの仕事の関係で台湾に戻りましたが、中国語が話せないので、ガードマンくらいしか仕事が無いのです」。

「日本の中華料理は美味しい。台湾の中華料理は不味い。日本は安全だ。住むなら台湾より 日本だ」と話していた。その時、先輩格のガードマンがやって来て、「サボるな! 仕事をしろ!」と言ったようだ。彼は寂しそうに去って行ったが、もっと話してみたかった。
人生というものはタイトロープを渡っているようなものだ。
私の場合は幸いにロープから落ちないで渡り終えそうだが、あのガードマンは落ちてしまった。
台湾グルメ旅行で、思いもかけず厳しい人生を見てしまった。
