■天麩羅と紅葉と追分だんご
マンションに住むXさんは80歳であるが、元気だ。 でも、この年になると興味の対象が絞られて来て、今は「人生の残り時間の間に、美味しい食べ物を食べたい」というのが最大の希望のようである。
程ほどの値段の美味しい食べ物屋を知っているのは、このマンションでは私ということになっている。
そこで、時々、私は義務みたいに、グルメとイベントをセットにした企画を立てる。
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今回は天麩羅を食べて、新宿御苑の紅葉を見る企画だ。
先ずは新宿の船橋屋で「カウンター天麩羅」を食べる。
目の前で揚げた天麩羅がカウンター越しに出て来るので、みんな感激である。
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食後は歩いて新宿御苑に向かう。
園内は紅葉の真っ盛りで、カメラマンが多い。
それも旅行社に引き連れられた団体で、オババが多い。
私より高いカメラとレンズを持っているのが気に入らない。
新宿御苑を出て、「追分だんご本舗」で休憩をする。
「甘辛だんご」と「あんこのだんご」の2本に、お茶が付いて540円也。
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私以外の4人はシニアパスという、東京都が発行した都営交通に無料で乗れるパスを持っている。
だから、今回の企画は、「天麩羅屋」、「入場料」、「追分だんご」で、1910円という格安パック旅行だった。
私の他の4人は新宿御苑では、あまり見物をしないで休んでいた。
「(花)紅葉より団子」ということか?
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(おまけの話)
同じマンションでお付き合いしている人にも、色々な人がいる。
豊かな人もいれば、そうでない人もいる。
中には奥さんに財布の紐を締められて、お小遣いがあまり無いジジイもいる。
今回の企画でも、前回の企画からの期間が短か過ぎた為に、お小遣いが無い人がいた。
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仕方ないので、私とSさんで補助をしてあげた。
こういうのも、援助交際というのだろうか?
その代りに、私から色々と頼み事をすることで帳消しとする。
マンションというのは一戸建てと違い、ずいぶんと経済状態の違う人が住んでいると知ったのである。
なにしろ7000人も住んでいるからなー。