■金魚も芸術となる
日本橋三越デパートの前のコレド室町の5階で「アートアクアリウム展」というものが開催されて、女房に誘われて出掛けて行った。 行く前はなんだかよく分からなかったのだが、名称から判断して、水槽の芸術というようなものらしいと想像出来る。
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入場料を1000円支払い、薄暗い会場に入る。
入ったそこは、なんのことはない。金魚だらけであった。
水族館のようでもあり、そうではないようでもある。
大きな水槽に1000匹を越す金魚を入れて、それをライトで照らす。そうしたかといえば、水槽のガラスに覗き穴を作り、そこから覗くと金魚の万華鏡となっている。
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和風の障子のような表現をした光の壁に、沢山の金魚が泳いでいて、それが障子の泳ぐ模様となっている。
要は、陳列の方法が芸術的なのであろう。
金魚を芸術にまで仕立て上げるという、その才能というか度胸には驚いた。
私は子供の頃から金魚とか熱帯魚を飼うという趣味は無く、飼った経験がない。
中学生の頃に熱帯魚のグッピーを飼うことが流行ったが、私はその流行りには乗らなかった。
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だから、1000円も払ってただの金魚を見せられたんじゃ、なんだか凄く損をしたような気分になった。
「アートアクアリウム展」なんて、洒落た名前が付いていたので、つい騙されてしまった。
「この素晴らしさが分からないのー」と、芸術評論家に言われるかもしれないが、私はこれは好きじゃない。
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(おまけの話)
私の父親の実家は八王子で、代々織物工場を経営していた。
今は織物は斜陽となり、工場は閉鎖してマンションとなっている。
私の子供の頃には、時々オヤジに連れられて八王子の実家に行った。そこは橋本家の本家なので、屋敷は広く金持だった。
庭には200坪くらいの池があり、金魚と鯉を飼っていた。
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我々が行くと池の鯉を捕まえて、昼ご飯の時に「鯉のあらい」と「鯉こく」にして出してくれた。
池で泳いでいた鯉は、黒色の食用と色付きの錦鯉だった。
でも、昼に出て来た鯉にはなぜか色付きもあった。
あれ以来、私は鯉料理も、鯉を飼うことも嫌いになったのだと思う。