■突然の強風と豪雨の中で
新聞で「海の森」を見学出来ると知った。 1年に1~2回、3日間だけ特別に公開しているらしい。
「海の森」というのは、都会生活から排出されたゴミで出来た島を、緑豊かな森にしようという壮大な計画である。
このプロジェクトのリーダーは建築家の安藤忠雄氏である。
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8月19日にY君を誘って見学に行く約束をした。
当日の午前6時半に、Y君から電話があった。
『天気予報は雨のようだが、行くの?』
私は、『予定通り』と言って電話を切る。
東京テレポート駅から都バスで15分位の中央埠頭前で降りる。そこから徒歩でまた15分くらい歩くと、海の森に着く。
現地では、東京都の係員が案内役をしている。
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坂を上り一番奥まで行ってみる。
右手に新しく完成した「東京ゲートブリッジ」が見える。
歩いていると、途中から雲行きが怪しくなって来た。
空が真っ暗になり、パラパラと雨も降って来た。
先端に着いた時には豪雨になっていた。
しかもこの場所は「風の森」という名称で、特に風が強いと知った。
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東京都の職員がテント小屋を張っていたので、そこへ駆け込む。
横殴りの雨が降り付けて、全身がずぶ濡れとなる。
いつまで待っても雨は止まない。
諦めて帰って来たが、Y君が電話して来た時に止めにすれば良かったと反省している。
結局は、なにがなんだか分からない内に帰って来た企画だった。
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(おまけの話)
雨避けに入ったテントは横の幕が無いので、横殴りの雨には全く役に立たない。
Y君がどこかに電話している。
聞こえた会話では、119番に電話をして救助を要請しているようだ。
私は、『少しオーバーじゃないか?、河の中州に取り残されたわけでもないし、水がここまで来る筈もないのだから・・・』
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119番の方も、そんな電話には慣れているのか、主催者の東京都に電話を廻した。
東京都も困っているようで、「検討中です」との返事だ。
このままいてもどうにもならないので、下の駐車場まで降りて行った。
そして暫く経った頃に、予告も無く東京都港湾局が手配してくれたバスが来て、我々を東京テレポート駅まで送ってくれた。
Y君の119番が東京都を動かしたのかもしれないが、定かではない。