■逃亡したラーちゃん
朝からラーちゃんの様子が変だった。 家の中をウロウロしていて落ち着かない。
こういう場面は、私達が2人とも留守をする時に起きる。
猫の特有の第六感なのか、なんとなく分かるようである。
女房が出掛ける少し前に、私の部屋のガラス戸を開けてラーちゃんが逃亡した。いつもはそのままにしておけば、庭で遊んでいて、飽きたら家に入るから問題ない。

ところが、その日は私も出掛けるので、ラーちゃんを家に取り込まなければならない。
そうなると、ラーちゃんは殺気を感じたのか柿の木に登ってしまった。
そしてそのまま屋根から隣の家の屋根に飛び移り、どこかへ逃亡してしまった。

いくら呼んでも戻らない。
このまま行方不明になることを恐れたが、どうしようもない。
仕方ないので、女房が出掛けた後に私も出掛けた。
その日は新宿の床屋に行って、その後は「ぶらり全駅下車の旅」を続ける予定をしていた。
住友ビル3階の行き付けの床屋で髪を切ってもらう。
そして別注文で、顔のクリームマッサージもしてもらう。
早朝割引なので、顔のマッサージをしても伊達の床屋より安い。

床屋から歩いて代々木駅、千駄ヶ谷駅と進む。
2駅が終ったところで、ラーちゃんが心配なので家に戻った。
(おまけの話)
急いで家に戻り、玄関のカギをガチャガチャいわせていたら、どこかで『ニャー』という声が聞こえた。
庭の方を見ると、茂った蕗の間からラーちゃんがこちらを見ている。

そして、『庭のガラス戸を開けろ』という素振りをしている。
仕方ないので、家に入ってガラス戸を開けた。
ラーちゃんは焦って家の中に入る。
しかし体中が泥で真黒である。
白い毛なので、汚れが目立つ。
そっと近寄り、雑巾で体中を拭うが、簡単には落ちない。
顔が汚れていると、猫というのは「野良猫」に見える。
ラーちゃんを風呂に入れたら、やっと飼い猫に戻った。
しばらくして女房が帰って来たら、何事も無かったような感じですり寄って行った。

猫という動物は、そういうところが良いのである。
犬好きの人には判らない気持である。