■トラの最後の楽園(2月12日)
ベンガルトラはインドしかいない。
特にその縞模様が美しい。
この自然公園では25頭から30頭のトラが生息していると言われているが定かではない。
縄張り争いに敗れて出て行ってしまうトラや、死んでしまうトラもいるし、新しく生まれて来るトラもいるからである。
全くの自然のままで管理しているので、なかなか数が増えない。
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1頭のトラが生きて行く為には、大体であるが、シカなどの草食動物が500頭くらいが棲める環境が必要だとO君から教えられた。
それから判断して、この地域には30頭以上のトラは生息できないということらしい。
だから、我々はトラにはなかなか出会いないが、シカやイノシシならいつでも見られる。
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午前中はトラには出会えなかった。
午後からドライバーはサンジェイとなり、運が巡って来たと思った。
仲間から携帯に電話があり、トラを見付けたようだ。
すぐに現場に向かう。
トラは池の傍の藪に潜んでいる。
我々には見えないが、サンジェイには見えるようだ。
そこに象が2頭、通り掛かった。
サンジェイが象使いになにか言った。
すると象使いが象を使って藪に進み、トラを藪から追い出した。
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出て来たのはオスのB2と呼ばれているトラだ。
そして、何事も無かったように道路を横切って、反対側の森へ消えた。
お陰でトラを見ることが出来たが、サンジェイからのお願いで、象使いに10人くらいが200ルピーずつチップをあげたのである。
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(おまけの話)
トラは世界中で1500頭くらいしかいないそうだ。
アフリカには元々、いないということをO君から聞いた。
中国にも沢山いたが、商売熱心な中国人が漢方薬にしてしまってから、いなくなった。
チベットにも僅かにいるようだが、見られないので定かではない。
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ベンガルトラはその毛皮の美しさから、装飾品としても珍重されてしまい、昔は日本でも成り金の家の玄関などに敷いてあったものだ。
そんな歴史があるので、今では絶滅寸前になってしまっている。
私の写真が後になって、『あれが最後のベンガルトラだった』なんて言わないで済むように、インド政府はもっと保護に金を出して欲しい。
その為のお金は私達外国人が公園に入る為に、沢山支払っているのだから・・・。