■今年最初の富士山
東京に住んでいると富士山は非常に身近に感じている。 私にとっては生活の一部でさえある。
新宿に出掛ければ、都庁の展望室に登って富士山を眺める。
中央自動車道を走れば、国立インターを入ると左手に富士山が見える。
手帳に空白があると落ち着かないY君が、私を富士山の撮影に誘ってくれた。そういう私も手帳に空白はあまり無い。
でもY君ほどではない。
Y君と違い、私は引退生活のノウハウを身に付けたからだ。・・・と、いうわけで、天気の良い日を選んでY君と富士山に向った。
中央高速道路の河口湖インターを出て、先ずは精進湖で富士山を撮影する。
この2~3日の寒さで、湖は氷が張っている。
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次はダイアモンド富士を撮影する為に山中湖に戻り、午後3時51分に起きるはずの場所である湖の西の端にポイントを定める。
天気も良く、期待できる。
いよいよ太陽は富士山の頂上に近づいて来た。
ダイアモンド富士の始まりである。
・・・と思ったら、どうやらこの位置ではないようだ。
更に西の、しかも丘の上でないと駄目なようだ。
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アッという間に太陽は富士山の稜線の陰に消えて行ってしまった。
またもや撮影は失敗である。
この天体ショーの為に、今までに何回ここ山中湖に来ただろうか?
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(おまけの話)
仕方ないので、富士山の夕焼けを撮ろうと思い、平野地区へ向かう。そこには多くのカメラマンが来ている。
きっと夕焼けを撮影する為に来ているのだろうと思った。
陽が落ちて1時間も待っても、夕焼けは始まらない。
でも、帰る人は少ない。
これ以上、待っても仕方ないので、私達は戻りかけた。
その時、近くに富士山の専門家風のオヤジが居たので、話しかけた。
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Y君、『今日の夕焼けは駄目でしたねー』
オヤジ、『雲が無いからねー。もう帰るの?』
私、『そうですよ』
オヤジ、『もうチョット待てば、素晴らしい光景が現れるよ』、『対岸の灯がともると、綺麗なんだよ』
・・・ということで、そのオヤジの指導を受けて、夕闇迫る山中湖を撮った。
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ダイアモンド富士は駄目だったが、思いがけず美しい写真が撮れた。
この場合は『棚からぼた餅』か、或いは『犬も歩けば、棒に当たる』か、どちらなんだろう?