■貧乏暇なし
2階のトイレの洗面台の水道の蛇口が壊れて、水が止まらなくなってしまった。暮のことだったので、とりあえず元栓を止めた。 自分で直そうと思い、洗面台の裏を覗いてみたら、専用工具が無いと直らないと判った。
そこで、正月明けに地元の友人のFちゃんに連絡した。
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彼は冷暖房工事と保守を仕事にしている。
私の電話にFちゃんは快く応えてくれて、工事をしてくれることになった。
その電話の時に、暫く会っていなかったので、『どう?仕事は忙しいの?』と聞いたら、『貧乏暇なしだよ』と言っていた。
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ある日の午前中にFちゃんはやって来た。
彼はもう63歳だと言う。
少し前から髪を染め出したというだけあって、年より若く見える。
地元に根付いているFちゃんに最近の地元民の様子を聞いた。
Xさんは、脳梗塞を患って以来、言葉がハッキリしなくなり、人前に出るのが嫌になり引きこもりがちだという。
Yさんは、視野狭窄になり、やはり引きこもっているという。
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私より若い人達が次々と引きこもるようになっている。
Fちゃんだけが元気溌剌で、仕事に趣味のクラシックカーに張り切っている。
私もそろそろ引きこもった方がいいのかな?
結局は工事の下見の写真を撮っただけで、昔話をして帰って行った。でも、その日の夕方に彼の会社の社員が来て、蛇口は直してくれた。
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(おまけの話)
昔から『貧乏暇なし』という言い方がある。
これはある種、『私は忙しくやっているよ』という自慢の部分もあるように思う。
ある時、外国人と話していたら、『貧乏の上に暇も無いんじゃー、最悪だねー』と言われた。
言われてみれば、その通りだ。
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彼は、一番良いのが『金持ち暇あり』、2番目が『金持ち暇なし』、3番目が『貧乏暇あり』で、最後が『貧乏暇なし』だと言っていた。
私は貧乏ではないが、暇は十分にある。
でも、その暇な時間を自分から忙しくしてしまっている。
(おまけのおまけ)
昨日、私の大好きなアメリカのドキュメンタリー映画監督である、マイケル・ムーア作品の映画『キャピタリズム』を見た。
そして、すっかり考えさせられてしまった。
是非とも、ご覧下さい。