■男の顔は履歴書
(2015年3月4日) 「男の顔は履歴書」、「女の顔は請求書」と昔の評論家の大宅荘一が上手いことを言った。
その基になったのがアメリカ大統領のリンカーンの次の言葉で、「男は40歳になったら自分の顔に責任を持たなければならない」である。
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「なぜ40歳か?」と調べてみたら、遺伝子学的には40歳までは遺伝子の働きが体に影響し、それ以降はその人の生き様が顔に現れるのだそうだ。
そうなると40歳とそれ以降の自分の顔をアルバムで確認したくなった。
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写真を見ると、どれもあまり変っていないが、60歳頃から急に老け顔になったようだ。そうかといって、どう責任を取ればいいのか分からない。
自分が誰かに迷惑を掛けたのなら、謝るなりして責任を取れる。
でも、顔が存在しているだけで「責任を取れ」と言われても私は困るのである。
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私は自営業をして来たので、履歴書とは「受け取るもの」で、「書くもの」ではなかった。それでもたった1回だけだが、履歴書を書いたことがある。
それはニューヨーク世界博覧会の従業員募集の時であった。
それ以降は書いたことがない。
でも、この時はまだ学生で職歴が無かったので、正確には履歴書とは言えない。
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友人達と会うと、たまというか、最近は年のせいか、よく昔話をする。
彼らの現役時代の仕事の話も私には新鮮で、みんな頑張って来たんだなーと思う。
私は人並み以上に苦労をしたと思っているが、苦労話はあまり好きではない。だから楽しかった話ばかりするので、お気楽人生と勘違いされることもある。
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昔の履歴書は単に経歴だけを書いたようだが、最近の履歴書は「自分がXXのプロジェクトでこのような成果を上げた」なども自慢げに書くようだ。
いまや時代が変り、みんな自分を売り込むために必死になってオーバーな履歴書を書いている。
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「男の顔は履歴書」ということを基準にして、友人、知り合い、通り過ぎる人などの顔を見るが、その人がどのような人生を過ごして来たかは私には分からない。でも、その人が今が幸せか、不幸せかはなんとなく顔に出ているように思う。
でも人生というものは運・不運にも左右されてしまう残酷なものなので、「責任を持て」は少し気の毒なような気もする。
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(おまけの話)
女と書くと、今の時代では怒られるかもしれない。
「女性」と書くべきであろう。
でも、「女性の顔は請求書」では、いまひとつ真実と迫力が伝わり難いように思う。
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「女の顔は請求書」であるが、それは女がまだ若い時の話ではないかと思う。私は酒を飲まないので、若い頃からバーやクラブやキャバレー(古いなー)には行かなかった。
だから大宅荘一氏のように、女の顔を見ても請求書に見えたことはない。
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しかし結婚して長くなり、お互いに年を取って来ると違う見方が出て来る。また、私には娘しかいないが、今までに2人の女性にはずいぶんとお金が掛かった。
「請求書」というのはまだお金を支払っていない状態を示す言葉である。だから、私が作った新作は「女の顔は領収書」である。
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