■ドーナツを穴だけ残して食べる
世の中が複雑になって来ていて、私程度の頭では理解を越える。
日韓の問題はレッドラインを越えて、普通の日本人でさえも日韓の文化の違いに驚き呆れている。
そんな時でも「食べ物の話」は揉めることも無く、みんなを楽しくさせる。
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今回はドーナツの話である。
なぜドーナツかと言うと、最近であるが「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」という本を読んだからである。
ドーナツは真ん中が穴になっているからドーナツなので、その穴だけ残すなんて出来ないと思ったし、タイトルが面白かったのが、この本を選んだ理由である。本もブログもタイトルが大事だと思った。
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この本は真面目な内容で大阪大学が発行した本で、「ドーナツの穴だけ残して食べる」ことを学問的に探究している。大阪大学の教授、准教授たち7人が真面目にこの問題に取り組んでいる。
「ドーナツに穴はあるのか?」という常識を疑うことから本は始まる。
各分野の教授が自説で解説しているが、色々な見方があり結論は出ない。誠に難しい話で、時には哲学的になる本であった。
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私は昼に門前仲町でソバを食べた後に、ミスター・ドーナツによく行く。そこでドーナツを1個とコーヒーを注文する。
そして席に座り、持参した本を読む。
途中で「コーヒーのお代わりはいかがですか?」と女店員がやって来る。
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お代りは無料であるが、私はいつもお代りはしない。
しばらくするとまた来るので、声を掛けられないようにコーヒーカップを逆さにしておく。
すると、彼女は何も言わずに私をパスする。
別に意地悪をしているわけではなく、本を読んでいると、いい所で中断されるのが嫌なだけである。
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ドーナツには色々と思い出がある。
55年前にニューヨークに住んでいた時に、近くにダンキン・ドーナツの店があった。
当時のドーナツの値段は忘れたが、25セントくらいではなかったかと思う。それでも1ドルが360円の時代だったので、1個が90円もしたのである。
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金の無かった私はそれでも高くて買い難かった。
店の値段表の左の隅に「Yesterday's」という表示があり、それは「昨日の残り」を意味していて、半値で売っていた。
時々、それを買って食べたが、特に味に変りはなかった。
今でこそ値段に関係無く太るのを嫌い1個しか買わないが、あれも青春の思い出の一幕だった。
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(おまけの話)
私のブログには時々、食べ物の話や写真が登場する。
そのブログに毎回、欠かさずに必ずコメントをメールで送って来る人がいる。
この人は私の小金井時代の友人(Hさん)で、私の余計なアドバイスで会社を畳んでしまったという経験の持ち主でもある。
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Hさんから食べ物に関してコメントがあったので、私も同じように感じていたので紹介する。
【その昔、叔父にウナギをご馳走になったことがありました。目の前で料理してくれます。しばらくの後ご馳走が現れました。美味しそうに思えました。ところが店主の一声で気分が変りました。「どうだ!うめーだろう!」。味はこちらが判断したい】
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【別の時に、有名なラーメン屋へ行きました。
出てきたどんぶりを前に「さー食べよう!」と意気込みました。すると店主が「まず、香りを楽しんで下さい」の一言。
勝手に食わせてくれと言いたい。】
この気持ちは良く分る。「これは塩で食べて下さい」なんて言う寿司屋もある。「食べ方くらい、私の勝手にさせてくれ!」と言いたいことが良くある有名店がある。
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この日のこの時間には「オールドファッション」が売り切れだった。