■懐かしの駄菓子
新宿に映画を見に行った。
映画はあまり面白くなかったので、久しぶりに歌舞伎町に行ってみた。
歌舞伎町は若者で溢れていて、韓国人の若者グループやカップルが我が物顔で闊歩している。もう私には年齢的にも、新宿の町は無理と思う。
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歌舞伎町の猥雑な雰囲気に馴染めず歩いていたら、ビルの案内板に「5F 駄菓子バー」という看板を見付けた。
「なんだろう?」と思い、興味本位でエレベーターに乗って5階を押した。
ところがエレベーターがいつまでも動かない。
壁に貼ってある文章を読んだら、「営業時間以外は止まりません」と書いてあった。
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仕方ないので家に帰ってからネットで 「駄菓子バー・新宿」と調べたら、営業時間は午後4時からで、「テーブルチャージ500円、飲み物1杯を必ず注文、駄菓子は食べ放題」と出ていた。
YOUTUBEでも見たが、酒を飲まない私向きじゃなかったので営業時間外で良かった。しかしこの「駄菓子バー」が、東京都内に5店舗も展開しているとは驚いた。
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その後も、なんとなく駄菓子屋が気になっていた。
そこで暇人の私はまたネットで調べて、昔ながらの駄菓子屋へ行ってみることにした。
駄菓子屋は銀座にあるはずもないので「駄菓子屋・江東区」をネットで検索したら、驚いたことに数軒がヒットした。
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1軒目に訪ねた店は江東区の都営・新宿線の大島(おおじま)駅にある「ひよこ」である。
駅からはそう遠くない路地を入ったところにある「大島中央銀座」という名の、店舗もあまり無い商店街にその店はあった。店名は「ひよこ」である。しかし店は開いていない。午前11時過ぎだというのにー!
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ガラス越しに暗い店内を覗いたら、奥の部屋には明かりが点いている。
商品の駄菓子も並べられている。値段が見える。「20円」、「30円」、「80円」という値札が見えた。
ここは正統派の駄菓子屋であることは間違いないと思った。
もしかしたら駄菓子屋は子供相手の商売なので、学校が終る午後から開店するのかもしれない。
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2軒目は同じく江東区の都営新宿線の西大島駅にある「しんや」である。そのまま新大橋通りを進み、明治通りで右折する。そしてファミリーマートの手前の路地を入ったところに目的の駄菓子屋があるはずだ。
調べて来た住所の場所は、家が解体されて土木工事の最中だった。
今回の探検は2軒とも空振りだった。
仕方ないので、「豊洲ららぽーと」内の、お洒落な現代風の駄菓子屋へ行って駄菓子の写真だけ撮って来た。
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(おまけの話)
女房が4日ぶりに京都旅行から帰って来て、お土産を買って来てくれた。そのお土産というのが「幽霊子育飴」であった。
名前が凄い。
先ず商品に「幽霊」と名が付くのはこの店だけだろう。
しかも奇をてらっているのではなく創業は1666年で、現在の主人は20代目というから由緒正しい歴史のある店である。
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この店は京都では有名で、店名ともなっている「幽霊子育飴」だけを売って450年以上も商売を続けて来ている。さて「幽霊子育飴」だが、その謂れである。
【江村氏の妻が亡くなり埋葬され、数日後にその土の中から子供の泣き声が聞こえて来たので掘り返すと、亡くなった女性が生んだ子供であった。丁度そのころ、毎夜飴を買いに来る女性がいたが、子どもが墓から助けられた後は買いに来なくなった】
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【それ以来、この飴は「幽霊子育ての飴」と呼ばれるようになった。
その時助けられた子供は8歳で出家し高僧となったとのことである】。
早速、その飴を食べてみた。
評価は難しい。昔の飴である。駄菓子の一種か?
古い都にはこのような真偽のほどが定かでない話がたくさんある。
それで代々の子孫が生活し続けられるとは、冷静になって考えてみれば羨ましい。
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気を付けないと、高齢者は噛むと歯を壊す。