■初めての下町
かなり前からだと思うが、テレビ番組で「B&C級グルメ取材」が多い。 きっと出演料の安いタレントを使い、制作費もあまり掛からないし、店も宣伝になるので取材が簡単なのだろうと思う。
以前は砂町銀座商店街が良く登場したが、最近は飽きられたのか十条銀座商店街に変っている。
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私は東京で行ったことの無い場所は無いと思っていたが、十条ばかりは行ったことが無かった。そこで好奇心だけで、十条に出掛けて行った。
大江戸線で上野御徒町に出てJR山手線で上野で京浜急行に乗り換え、赤羽で埼京線に乗り換えて十条まで、3回も乗り換えて、家からは約1時間も掛ってやっと着く面倒な町なのである。
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日本中に商店街があるが、どこの県に行っても「銀座」と名前が付いているのを見掛ける。田舎の人が銀座に憧れるのは、分からなくもない。
ところが十条は埼玉県に近いが、れっきとした東京都なのにわざわざ「銀座」を付けるところが商店街自体が田舎町と自覚しているのかもしれない。
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他の3軒くらいも確認したが、扱っていなかったところをみると十条の人は食べないのかも?
十条駅の改札口を出ると、右手に「十条銀座」というアーケード入口の看板が見える。ここは最近の地方の商店街のようなシャッター通りではなく、多くの買い物客が歩いている。
先ずは374メートルの商店街を端から端まで歩いてみる。
古くからの店の間に、ところどころに全国的なチェーン店が出店している。
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商店街の最後まで行き、また戻りながら店を見たり写真を撮る。
もう一度、同じ商店街を進み、予め調べておいた何軒かの商店を覗く。
鶏肉の総菜屋の「鳥大」は行列が出来ているので、並んで名物のチキンボールを買う。
1個10円は今どきの値段とは思えない。「手羽の西京みそ焼き」という変なものも買ってみた。
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次に和菓子屋の「だるまや」で店番のバアチャンから「草餅」、「鹿ノ子」、「おはぎ」を買う。
店先の黒板に「お汁粉」と書いてあったので、奥の喫茶に入りお汁粉を注文する。
出て来たお汁粉の量に驚く。
お椀の上の方までお汁粉が入っていて、蓋が浮いている。
お汁粉を運んで来たのが、息子らしい。話好きらしく、私に話し掛けて来た。
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和菓子屋の息子なのにコーヒーに拘っていて、「自信があるので、ぜひ飲んでくれ」と言う。私も暇人なので彼に付き合いコーヒーを頼み、彼の自信満々のコーヒー談義を聞く。
横を通った母親のバアチャンが「いつもこうで、だからお客が逃げてしまうのよ!」と言った。
結局は1時間も話を聞かされ、おまけに「水出し煎茶」を飲まされて、やっと解放されたのである。
でも十条銀座商店街は魅力的な人達が多く、楽しい町だった。
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(おまけの話)
銀座2丁目の裏通りにミシュラン★の日本料理店がある。
その名は「一二岐」と書いて、「いぶき」と読む。
女房が以前に行ったことがあり、彼女が「とても素晴らしい店で、とても美味しい」と言ったので平日のランチに家族で行ってみた。
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店は地下一階だが、入ると白木の清潔そうなカウンター席が7席ある。
この他に個室が2室で4名と6名用なので、全部でも17席しかないこじんまりした店である。ランチの5400円コースを頼む。
目の前で料理人が手際良く作る料理は芸術品クラスである。
素材を厳選してあり、また出汁に拘りがあるようで、とても美味しい。
カツオのタタキなどは店内で藁を燃やして焼く。燃やされた藁の香りが店中に漂う。
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いつものように料理の写真を撮りたいが、とてもそんな雰囲気の店ではない。カメラなど取り出したら、「田舎者!」と周りの客から言われそうだ。
(・・・というわけで、今回の画像は「一二岐」のHPから借用した)
出て来る料理は盛られた器も綺麗だし、味も特別に美味しい。
最後に釜炊きのご飯が出たら、それは北海道産の「ゆめぴりか」で、また嬉しくなった。
C級グルメの後のA級だったので、特に美味しく感じたのである。
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