■台湾紀行(11)・・・・おまけの話
台湾紀行の「おまけの話」である。
私の台湾経験は50年前に作家の邱永漢氏に引率されて訪問したのが最初だったが、それから8回くらいは台湾を訪問している。お陰で親しい友人も出来たので、今回の旅行は充実したものになった。
今回の旅では多くの台湾人にお世話になることが分かっていたので、かなり沢山のお土産を用意して出掛けた。スーツケースの3分の2は、日本からのお土産だった。
だから帰りのスーツケースはガラ空きの予定だった。
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銀座通りで中国人が買い過ぎたお土産を入れるために、安売りのスーツケースを買う姿をよく見ていた。そしてバカにもしていた。
ところが今回の旅では、行く先々で私はお土産攻勢にあって困ってしまった。
いくら断っても「持って行け」と言う。スーツケースに入り切らなくなったら、古さんがアメリカの自転車の有名ブランドのSpecialized のリックサックをプレゼントしてくれた。
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中華料理の話である。
私は食べ物の中でも、中華料理は好きな方である。
日本でよく食べるのは酢豚、エビのチリソース、牛肉とピーマン炒め、麻婆豆腐、小龍包などの中華の定番料理であるが、今回の旅では小龍包以外はこれ等は出て来なかった。
何回も台湾に来ている私に、珍しいものを食べさせたいという現地の人の好意によるものだ。私にとっては、悪いがあまり美味しくなかった。
だから帰国したら1.2キロ痩せていた。
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日本時代の建物を多く見たが、台湾全土の商店街には日本には無い特徴がある。それは道路に面した建物の2階の部屋の下の部分に、必ず歩道があることだ。
土地と建物は所有者のものだから、2階以上は歩道の上に建物がある構造である。これは日本の台湾統治時代に政府が「台湾は南国で雨季には急にスコールが来るので、雨除けの歩道を作れ」と命令したことから始まった。現在もそれは台湾全土で続いていて、これは非常に良いと思う。
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高層ビルの場合は、建物を歩道より後ろにセットバックしている。
台湾のテレビを見ていて感じることがある。
テレビ受像機は日本と同じなのに、映像が美しくない。更にコマーシャルが垢抜けない。
ニュースはローカルのどうでもいいようなものが多い。その理由を古さんに聞いてみたら、「国民党支配の時代に政権批判が出来なかったので、どうでもいいニュースばかりになり、今もそれがトラウマになり続いているのではないか」と言っていた。
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トランプは台湾ではで「川普」と書くが、本土では「特朗普」と書く。
「トランプ大統領、アジア歴訪を1日延長し、フィリピンで東アジア・サミットに出席」と書いてあるらしい。
往きの飛行機で座席の液晶画面が壊れていて、楽しみにしていた映画が見られなかった。松山空港で降りる時に、係員から25米ドルの商品券をお詫びの印に渡された。
帰国の時に機内販売で使おうと思ったが、25米ドルでは買いたいものが無い。仕方ないので追加のお金を出して、ベルギー産のチョコレートを買った。
これが今回の旅のお土産で、家族に一番喜ばれたのは皮肉である。
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台湾人に聞いてみたら、「橋本さんは黙っていれば、台湾人と思われる」だった。
台湾には日本人が思っている以上に日本文化が入り込んでいる。
それを台湾人も意識していないようだ。私が予想外だったのは「あんこ文化」である。
街には和菓子屋もあるし、どら焼き、大判焼きなど当たり前に売っている。
お汁粉もどきも何回か食べた。あんこ好きの私には満足な味ではないが、これは驚いた。台湾はアメリカ文化より、日本文化の方が幅を利かせている。
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(おまけの話)
台湾人の習慣で今も生きているのが、「食事の時に誰が払うか?」である。学生は知らないが、社会人になると彼らは絶対に割り勘をしないで年長者、金持ちが支払うのである。
古さんは金持ちらしく、いつも支払い役である。これは私には心苦しい。様子を見ながら、3回に1回は私が支払う。
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頼さんも金持ちのはずだが、入場券など安い時に払っている。
古さんと2人の時に、この習慣に付いて聞いてみた。「頼Bさんは古さんより年長者だが、あまり支払わないね?」、「いいんだよ。高くても安くても、1回は1回なんだよ。払える人が払えばいいんだ。それが台湾の習慣です」と言う。
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私は「次は私か?」などと気にしているのは疲れるので、古さんと2人の時は割り勘にしてもらった。
そうしたら古さんも、その方が良かったみたいだ。
台湾人でも内心では「なんであの人は支払わないんだ?」と思っているのではないか?
古さんも本音で「払える人が払えばよい」と、私に答えたのかは定かではない。
これで今回の「台湾紀行」は終りです。
世界はこれから激動の時代を迎えそうだが、せめて日本人は日本と関係のある隣国(台湾・中国・韓国・北朝鮮)の歴史だけは勉強し、これ等の国々の悪質なプロパガンダに騙されないようにしよう。
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飲ん兵衛の頼さんは「不味い」と言っていた。