■富士山に救われる
このマンションに住む高齢者の為に、私は忙しいのに、また個人的にバス旅行を企画してしまった。 今回も、中央区の高齢者の為の助成金をもらっての旅である。
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春の房総半島バス旅行が評判が良く、参加者の多くが「また企画してー」と言うので、今回は富士山方面に行った。
誰でも、人が喜ぶ顔を見るのは悪い気持ちはしない。
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午前8時にマンション前をバスで出発した。参加者は37名だった。
首都高速道路から東名高速道路を経由して、御殿場ICで降りる。
ところが肝心の富士山が雲に覆われていて、全く見えない。
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篭坂峠を登って山中湖畔に出たが、やはり富士山は見えない。
私の好きな場所の平野地区に行く。
湖畔からは富士山の裾野だけが見える。
頂上は見えないが、3分の2は見える。
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なんでも3分の2が見えれば、その場合は「見えた」というと思う。
しかし富士山の場合は、頂上が見えないと「見えない」となる。
そんな時の為にと思い、冬の綺麗な富士山の写真を用意しておいた。
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河口湖へ向かう途中で誰かが、『富士山が見えた!』と叫んだ。
一斉にそちらを見たら、確かに頂上の雲が取れて右半分の富士山が見えたのである。みんなは大満足であった。私もそれで救われたのである。
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その後は順調に予定を消化し、ブドウ狩りとなった。
私にとっては20年ぶりくらいのブドウ狩りだ。
大きな1房をハサミで切り取る。
食べ放題というが、巨峰の1房は食べ切れない。
しかも木から採ったばかりの巨峰は、「冷えていない」のを忘れていた。
文明生活に慣れてしまった我々は、自然の果物さえ冷えていると勘違いしていた。
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(おまけの話)
河口湖で昼食となった。
名物の「ほうとう」を食べた。
食べ終って話をしていたら、急に呼ばれた。
具合の悪くなった参加者が出たのである。
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用心の為に救急車を呼び、女房ともう1人が付き添いで病院まで行った。
バスはその先の予定を消化する為に先を急ぐ。
老人ホーム見学、ワイナリー見学、ブドウ狩りと予定をこなして中央道を戻って談合坂SAで休憩となった。
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ところがバスの運転手が『タイヤの調子が悪いので、代替えのバスを呼ぶので、乗り換えて欲しい』と言う。
これにはどうしようもなく、バスの中で待つ。
やっと代替えのバスが来て出発したのは、2時間半も後だった。
マンションに帰り付いたのは8時半を廻っていたので、12時間半の長旅であった。病院に同行した女房は、既に家に帰っていた。
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