■もうひとつの新宿
私は新宿にはよく行く。 デパートに行くこともあるし、映画に行くこともあるし、会合に行くこともある。
でも、必ず毎月行くのが床屋である。
床屋に行くと、その後は新宿の町を徘徊するのが常である。
今回は歌舞伎町から花園神社に抜ける経路で徘徊した。
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元コマ劇場の裏側は、怪しい店が多い。
ホストバーも沢山あるし、アダルト系の店がケバケバシイ看板を出している。
そこを抜けて更に進むと、市役所通りに出る。
そこを右折して靖国通りに出る前の路地を左に曲がると、酒飲みの間では有名な「新宿ゴールデン街」がある。
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ここは今の新宿から取り残されたような街で、昼間は全く人通りも無い。だが、夜ともなると、多くの人が訪れる。
特に文人とか、文化人という人種の人達はここが贔屓で、彼らの書くエッセイなどにもよく登場する。
でも、それらの文人達も年をとって、お迎えが来てしまったり、出歩けなくなったのか、店の売り上げは厳しいようだ。
そんなことから、積極的に外国人旅行者を受け入れる店も現れていて、入り口に英語の案内文が出ている。
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・・・・などと、知ったようなことを書いているが、私は全く酒が飲めないので、飲みに行ったことがない。
伊達の酒飲みが来たら、案内してもいいですよー。
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(おまけの話)
住友ビルの床屋に行ったら、その日は空いていた。
ここは全員が女性だが、みんなオババである。
私が初めてこの床屋に行ったのは、42年前である。
このビルに取引先があったので、ついでに行くようになった。
その当時は技術者は若い女性だけで、みんなミニスカートを穿いて頭を刈ってくれた。
私も若かったので、その時は嬉しかった。
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今はお客も技術者もお互いに年をとり、懐かしげに昔話をしている。
今回の話は、彼女は『ポックリ死にたいねー』、私は『同じ老人介護施設に入って、私の頭を刈ってねー』。
・・・と、なんだか寂しい話になってしまった。