■夕暮れの洞爺湖
山の上に滞在していると、毎日1回は町に降りるようになる。買い物、食事、イコロ農園、その他の用事などである。 時には1日に3往復することすらある。
町の中心まで片道15キロ、キッチリ15分で行ける。
でも、東京に居る時はあまり車を使わないので、こちらに来るとガソリンの減りが早いのに驚く。
田舎は東京より経費が掛ることもあるのである。
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時々、伊達神社の少し先を左に曲がり、農道を使って帰る。ここから見る伊達市全景と、綺麗に苗が植え付けれた畑の縞模様が幾何学模様で美しい。
そのまま進んで、トンネル脇の交差点近くに出る。
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町に出るには不便だが、その代りに町では見られない風景を毎日堪能できる。朝靄の中の「らくよう林」もまた良い。
高台に登ると、夕暮れの洞爺湖は湖面に反射する夕陽が素晴らしい。
ウィンザーホテルがシルエットとなって、威容を誇る。
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たまには見晴らしの良い場所で、大勢でバーベキューをする。屋外でジンギスカンを焼いて食べるのが私は好きだ。
洞爺湖の手前に壮瞥町の明りが見える。
岩倉果樹園の銀色に光るハウスもハッキリと分かる。
こんな素晴らしい景観は、1人占めするには勿体ない。
でも、難点もある。
夕闇が迫ると藪蚊がワンワンとやってくることだ。
自然とは、そういうものも含めていうのである。
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(おまけの話)
カニパーティの後日談である。
東京から来た女房の友人の女流画家は大酒飲みである。
パーティの席で見知らぬ地元男性と一緒に飲んで盛り上がり、毛ガニの話になったところで、彼女は『噴火湾のカニは美味しい。』と強調した。
するとその男性は『東京に送ってあげるから、この紙に住所を書いておいて』と言ったそうだ。
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そこでお連れの女性と2人分の住所を書いて彼に渡した。
その話をTさんにしたら、『その人はOさんで、酔った勢いでの話だから、東京に送ってくる筈がないよ!』と言った。
ところがである。
女流画家から女房への連絡で、そのOさんが立派な毛ガニを送って来てくれたと知った。
伊達の男は素晴らしい。酔っても約束は守る。
Oさんはただの伊達男ではなかったのである。