■多摩川を歩く
大江戸線全駅徒歩の旅が終り、次の企画は「多摩川を上流から河口まで歩く」と決まった。 多摩川というのは山梨・東京・神奈川を流れている1級河川であるし、小金井に住んでいた私達には馴染みの深い川である。

源流は笠取山の下だそうで、そこから流れ出た水が奥多摩湖に注いでいる。
正式には、そこから出た流れを多摩川という。
でも、私達のようなジジイがそこから歩くのは無理なので、おまけをしてもらい「奥多摩駅」からにする。

午前11時30分に、奥多摩駅前に中高の同級生の7人が集合した。
勝どきから奥多摩まで行ったら、なんと3時間も掛った。
新幹線に乗れば、大阪を通り越してしまう程の長い時間だ。

絶好の好天に恵まれて、多摩川沿いを歩いて行く。
この辺りは渓谷が深く川沿いに道が無いので、奥多摩街道から多摩川を見下ろしながら歩く。

途中から川沿いの遊歩道に降りる。
御岳駅に近付くと川幅も少し広くなり、「マス釣り場」がある。
その先に行くと、「カヌー練習場」がある。

御岳駅になって、みんなが、「疲れた。今日はここまで」と言うので、階段を登り街道に出る。
そこにあった甘味処に立ち寄り、コーヒーフロートを飲んで電車を待つ。
なにしろ、この電車は1時間に2本しか来ない。
東京もここまで来ると、相当に田舎である。

この旅をして気が付いた。
「多摩川を歩く」ことは、他の企画に比べてかなり楽なのである。
なぜなら、「川は上流から下流に流れる」のであるから、この先もズーと下りばかりなのである。
私達の残りの人生みたいであると気が付いたが、これは見方を変えれば、「かなり楽な生き方」なのであった。

(おまけの話)
奥多摩に行く為にはJR中央線に乗る。
この電車で1年ぶりに武蔵小金井駅を通過した。
我が家は電車から見える場所だったので、前の駅を過ぎた辺りから心の準備をして、元の我が家を写真に撮ろうと考えた。

見慣れた風景が目の前を過ぎて行く。
「もうすぐだ」と思った瞬間に、電車は元の家の前を通過してしまった。
あまりの変りように、元の我が家がよく分からなかったのである。

家の前の畑には建て売り住宅が5軒建ち、我が家の跡地にはやはり建て売り住宅が3軒建った。そこは小さな家が立ち並んだ住宅街となっていた。

60年以上も住んだ私の故郷であるが、あまりの変りようで、電車から一瞬見えただけでは「懐かしい」という感じになれなかったのである。
次回の「多摩川を歩く会」では、早目に家を出て、この辺りを散策してみようと思う。