■巨大なショートケーキ
私の娘が家に来た時に言った。 『お父さんの大好きなショートケーキで、もの凄く大きいのが東京ミッドタウンに出現したわよ』。
なんのことか分からなかった。
調べてみたら、ミッドタウンの3周年を記念して、広場にバカでかいショートケーキのオブジェを飾ってあるらしい。
そうなると『行かなければ』と思うのが、私の良くない性分である。

ショートケーキというのは、私の世代にとっては『贅沢品』である。
先ず、生クリームというのが贅沢である。
私の子供の頃のクリームと言えば、カスタード・クリームかバター・クリームだった。
それにイチゴは今のように、いつでもある果物ではなかった。

大人になってからも、ショートケーキは好きだった。
特に自由が丘の『モンブラン』の物は、普通の店より大きかった。ケーキ箱の包み紙が洒落ていて、東郷青児の絵がプリントされていた。
あれを食べると『贅沢をしたー』という気分になれたのが懐かしい。
最近はケーキ屋のことを『パティスリー』なんて洒落て言う。
また、ケーキ職人は『パティシエ』である。
そんな風に呼び方が変ってから、ケーキの値段がグーンと上がった。

阿佐ヶ谷でケーキ屋をやっていた同級生のE君は、そんな呼び方が似合わない男だった。
だから時代を読んで、彼はケーキ屋を止めたのかもしれない。
(おまけの話)
ホテル・ニューオータニのカフェにショートケーキがあった。
今もあるかどうかは分からない。
以前に四谷に住む姉がそこでショートケーキをご馳走してくれた。

なんと1個1200円だった。
更に2400円のものもあると言う。
『何が違うの?』と聞いた私に、姉は『生クリームもイチゴもケーキの粉も全て厳選されたものを使っている』と答えた。
そこで、私は2400円の方を注文した。
1200円のものを注文した姉のケーキを味見させてもらったが、どこが違うのか判らなかった。

見た目も全く同じなので、『本当に違うものなのかなー?。出す時に間違えていないかなー?』と、あまり納得はしなかった。
せめてデザインくらいは変えた方が良いと思うが・・・。