4つ目の鳥居で視界が開けた。

少しの間、休んでいると、木々の間からまばゆい光が差し込み、一瞬目をくらませた。
この鳥居はまるで俺を歓迎しているかのようだった。
鳥居をくぐり、道を回り込むと、すぐに出てきたのが単管と鉄枠を組み合わせただけの年季ものの鉄橋だった。
後方には青い海が広がっている。
おー…….
いよいよインディ・ジョーンズばりになってきたぞ。
俺はワクワク感でいっぱいになり、これまでの疲れが一気に吹っ飛んだ。
こいつを早くカミさんに見せたかったが、待てど暮らせど来ない。
しびれを切らして俺は、人ひとりがようやく渡れそうなこの古い鉄橋を先に渡ることにした。

鉄橋はサビも来ていて、少し不安になる。崖下には青い海があるが、足元が滑るのでとても景色を楽しむ余裕はない。鉄網の床が錆びて抜けないか用心しながら、一歩一歩、すり足でゆっくりと前に進む。
進むこと約15m。たどり着いた場所は狭い崖の踊り場だった。
そしてその崖の壁には鉄の鎖の輪が垂直に伸びていた。高さにして約7m。上の方に岩窟が見える。
いよいよ最終ステージは崖の直登だ。

それにしても本当にこの鎖で登れるのか?
ワクワクは最高潮となったが、ここはカミさんを待つことにした。メインディッシュをひとり先に平らげるわけにはいかなかった。
しばらくするとカミさんがやってきた。
「おーい、ゆっくり気をつけてなー」
と反対側に声をかけるが、彼女は「そんなことわかってら」といわんばかりの緊張した顔つきでこっちを見た。
ゆっくり、用心しながら橋をこちら側に歩いてきた。恐怖で腰がひけているようにも見えたが、無事に橋を渡りきった。

「あー、怖かった……」とカミさん。
「やっと最終ステージまできたよ」と俺は笑いながら鉄の鎖をガチャガチャと鳴らした。
「えー!これ登るの?無理無理……私ゃここで待ってるわ」
「なんで?ここまで来てかい?」と俺は少し驚いた。
「無理無理無理……」と彼女は首を強く振った。
そして「行ってきなー。気をつけてよ」と俺を促した。
こここまで来て本殿を見ずに帰るなんて、ナンセンスだ!
だが、確かに怖くて怯む気持ちもよくわかる。足や手を鎖から外したら真っ逆さまに崖の下に落ちるのだから。
俺は無理強いをせずに、メインディッシュをひとりでいただくことにして、上を見上げた。
(最終回につづく)

\ この記事をシェアする /

コメントはまだありません。
コメントを書く