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太田山神社で這いつくばる(2)

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「命懸けの参拝」
「日本一危険な神社」

そんなふうに喩えられるこの神社の参拝はいきなりロープにすがりながら登る急勾配な階段で始まる。
どうやらその喩えは本当のようだ。
俺は「この先、覚悟して来い」と言われているような気がした。

意を決して、我々は下を見たら転がり落ちるこの階段を一歩ずつ、注意深くロープを握りしめながら登って行った。

息を切らせながら階段を無事に登りきり、2番目の鳥居をくぐったと思いきや、今度は崖が立ち塞がる。
こうなるともはやこれは神社参拝ではなく、もう登山だ。

二人ともビビりながら、上を見上げるが、ロープを握りしめ、気合を入れて登り始める。
短パン・サンダルで来ていたら、この時点で諦めていたなと、カミさんに感謝した。

足元を滑らせながら、腕の力で登っていく。ロープがなければ無理だろう。
いったい昔の人はどうやって登って行ったのだろう。
Apple Watchの脈拍が180まで跳ね上がった。

時折、獣道のような小径になる。うっそうとした森の中を歩きながら「もののけ姫」の世界に入っていく。「木霊(こだま)」たちが出てきそうな深い森だ。

カミさんが少しずつ遅れてきた。
だが悪いが今回は構っていられない。自分のことで精一杯の俺は、彼女ががんばって登ってくれることを祈りながら、無情にも先を行った。自分のペースで登らないと疲れが倍増するからだ。本当に余裕がなかった。

必死に登っていくと、岩陰に仏像があった。首のない仏もある。どういう経緯なのだろう。この山は、江戸時代に全国を巡って仏像を彫り続けた円空上人が修行した場所でもあるという。そういえば、先日探検した小幌の岩屋観音にも、首のない円空仏があった。もしかしたら何か関係があるのかもしれない。

ここで休んでいると、ようやくカミさんが追いついてきた。
二人で手を合わせてお参りをする。
まだ序盤だろう。ゆっくりとなんて休んでいられない。

さらに進むと、3つ目の鳥居が出てきた。これが女人堂といわれるお堂だ。
明治時代までは女性はここまでしか入山できず、ここで参拝を済ませたという。
山岳信仰においては女人禁制は珍しくない。

女人堂

この女人禁制の話を出すと、多分カミさんの頭に血が上って参拝途中にして面倒なことになるから、俺は何も言わなかった。
参拝を済ますとすぐにまた出発だ。

息を切らしながら、10mも登っては休み、また登る。サングラスに汗が滴って視界を邪魔する。落石をしないように足元の石には十分注意をしながら登る。
だんだんと後ろからのカミさんの気配は全くなくなっていった。あまり休み過ぎるとまたスタートするのがしんどくなる。あらためてその急勾配の道に足を進めようとするのには毎度気合が必要だった。まさに這いつくばっての参拝だ。

しばらくがんばって登り続けた。そして、もう限界だな、まだ続くのかな……と絶望しかけた頃、見上げると突然4つ目の鳥居が現れた。同時に上の方の視界が開けて、木々の間から青い空が広がった。風がすっと抜けてくる。
あれ?もしかして本殿まではもうすぐじゃないか?

期待を膨らませ、鳥居の前で一礼をしてから重くなった足をさらに先に進める。

(つづく)

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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