太田山(おおたさん)神社というところがある。
先日の小幌の秘境探検で味をしめた我々は、他にも面白そうなところないかなと探していたが、カミさんが「ここすごいところらしいよ」と教えてくれたのがこの神社だ。
調べてみると、豊浦町から2時間半くらい、日本海側のせたな町にあるらしい。
創建は1440年頃。日本海を見下ろす断崖の岩穴(!)に本殿がある北海道でも指折りの山岳霊場であり、船乗りの祈りや修行僧の暮らしが何百年も重なってきた神社らしい。あの探検家の松浦武四郎が「登る道の険しさに驚き、岩穴からの眺めには、仙人の世界に来たような感覚を抱いた」と書き残しているそうだ。
おー!!!よさげではないか。俺の探検本能がムラムラしてくるのを感じた。
これはもう行くしかない。
「よーし!早速行ってみよう!」
「おー!」
ということになり、次の日、天気が良さそうだったので二人で出かけることにした。
出発間際、俺が短パンTシャツにサンダルの軽装で出かけようとすると、
「まさか。そんな格好で行くの?」とカミさんから指導がはいり、せめてジーパンと靴を履くことになったのだが、このことにはあとから感謝することになる。
豊浦町から函館方面に行き、長万部から太平洋側の国縫(くんぬい)まで50分。そこから日本海側に抜ける。太平洋と日本海をつなぐ陸路の最短は、長万部→黒松内→寿都で約40kmということだが、この道も60kmほどでかなり近い横断路だ。そんなことを車内で話していると、山間に田んぼが広がるようになった。今金町に入ったようだ。
「この山間の町、どれくらいの人が住んでいるのかな?豊浦町より小さいかな?」
そんなことを話しながら、ガイド役のGrok AIに聞くと意外にも豊浦よりも人口が多いことを知って二人で驚く。
こうした知らない町に車で入り、ゆっくりと周りを見ながら通り抜けていくのは面白い。そんなに離れた土地でもないのに、自分たちの町と空気感のようなものが微妙に違うことにも気づく。例えば地元の商店の店構えとか、昔からありそうな古い街並みの様子とか、歩く人の雰囲気とか。でも共通するのはどこもメインストリートの店舗シャッターが閉まっているところが多いことで、このことはいつも残念だと思う。
車は、せたな町に入った。アワビなどの海産物がとれるイメージの町だ。町の中心を抜けるとすぐに海に出た。日本海らしいゴツゴツした岩とそこに激しく当たる波飛沫の美しい風景が広がる。これまた我々がいつも目にしている静かな噴火湾と全然雰囲気が違う。
「おー……日本海だ!」

途中、いくつかのトンネルを抜けていく。バイクツーリング大会が行われているようで、何台ものバイクとすれ違っていく。狭い道に入るとぶつからないかとヒヤヒヤさせられ、ドライブに神経を使うようになる。
せたな町に入ってから約20km。道際にある今回の探検の目的地「太田山神社」の鳥居前に到着した。数台駐車できそうなスペースに車を入れる。どうやら誰も来ていないようだ。

早速車を降りてカミさんはリュックを、俺は今回持ってきたGoProカメラを頭に装着し、鳥居の前に立った。
「ここ……やばいな……」
我々は、そそり立つ急勾配の階段を見上げて、少しビビった。こりゃ40度以上の傾斜がありそうだ。
なんと上の方からは階段を登り降りするのに使うと思われる2本の太いロープが垂れている。
そのロープはまるで神の世界へと誘うための、参拝者に対する神の計らいに見えた。

(つづく)
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