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大変な仕事

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そろそろ歯医者に行かないといけないと思っている。虫歯の治療が必要なわけではない。クリーニングだけなら放射線も浴びないし、診断結果で不安に陥ることもないだろう。幸い俺の歯は丈夫な方らしく、カミさんに比べると大人になってから歯医者に厄介になる回数はずっと少ない。

ただそれをいいことに、若い頃から歯磨きをさぼり、メンテナンスもろくにしてこなかったツケは、じわじわと歯肉に出ているようだ。いつかしっぺ返しが来ると、それなりに覚悟はしている。

それでもたまに行くと気になるのが歯科衛生士たちだ。マスク越しにしか顔は見えないが、きれいで可愛い女性ばかりのように見える。そんな彼女たちの前で、俺のずぼらな口を大きく開けて見せるわけだから、かなり気が引ける。口の中を見ればその人の生活習慣などすぐわかるだろう。ろくにメンテナンスもしていない俺の口は、そのだらしない性格をそのまま語っているに違いない。

さらにいつも失敗するのは無精ひげと鼻毛だ。鏡もろくに見ない俺は、いつも歯医者の椅子に座ってから「しまった、剃り忘れた」と気づく。彼女たちはそんな俺の顔を間近に覗き込むことになる。こちらはたまったものではないが、見る方はもっとたまらないはずだ。

毎日、いろんな患者のそうした部分を至近距離で見続けているわけだから、男性への見方も変わってくるのではないかと思う。どんなにいい男でも、鼻毛やひげが目についた瞬間に「ただの人」になる。
そんな感覚が染みついてしまえば、イケメン俳優を見る目もどこか冷静になっていそうだ。病院の看護師たちも同じだろう。つくづく大変な仕事だと思う。

だからたまに歯医者へ行くと、歯科衛生士に「いつもありがとう」のひと言をかけたくなる。でもそんな見苦しい男にそんなことを言われても「オッサン、その前にヒゲぐらい剃ってこいや」と思われそうなのでやめておく。

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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