■線香(香)
仏事には欠かせない仏具、線香(香)…葬式の祭壇では、線香が絶やす事なくたき続けられ、参列者は順番に焼香しますし、日頃から仏壇に線香を灯す方も多いですよね…?通説では仏前で線香をたく事は、心身の穢れを祓って、仏様にお参りするため!とされている…。 ただ、本来、仏教が生まれた時は香(線香含む)自体はありがたいものとか、決まり事だった訳ではなかったようで…。
そもそも線香のルーツって、当然香ですよね?現代ならアロマセラピーの一つって事になるんでしょうが、元々、仏教発祥の地インドや中国では、それ自体に意味はなく、ただ”体臭を消すもの!”として利用されていたのさ…。
特にインドなんかはその当時(下手すると今も?)風呂に入るっちゅう習慣がなく、せいぜい聖なる川ガンジス川で沐浴するくらいだから、夏なんか車座で話をしたり、大勢で説法なんか始めると、体臭でかなりきつかったのは想像つきますよね?
日本でも、平安時代には風呂に入る習慣がなかったから、体臭を防ぐため、香をたいて着物に染み込ませていたようで…。だから、「恋しい人を思うと香の匂いを思い出す…」というような歌がたくさん詠まれるようになった。

日本へ線香の製法が伝わったのは、16世紀末の豊臣秀吉の時代のようで、当時自由都市だった堺で製法が始まり、香木が高価だったから、少しでも香りが長持ちするように工夫された。これによって、質のいい線香が安価で出回るようになって、寺院や家庭に広まって行ったのさ…。
せっかくだから、皆さん線香立てに何本の線香を立てますかね?1本立てる方は、禅宗さんの方でしょうか?特に曹洞宗の方たちは道元禅師の教えもあって、質素倹約を好むので、お花受けも一つでいいし、線香も1本でいいとされている…。が、他の宗派の方は3本立てるのが正解なんだって!宗教においてはどういう訳か奇数が重宝されていて、特に”3”という数字が多い!三昧耶・三密(物質・波動・精神)・仏、衆生、己等、ですわ。キリスト教でも”父と子と聖霊の御名において…”って3でしょう?まして、線香立て(香炉)の裏見て!普通脚が3本しかないでしょ?安定性を増すのなら、茶碗みたいにしたほうが、安定性ありますよね?ちゃんと意味があるんですって!あの脚の部分に1本ずつ3本立てるのが正解です。特に、家庭の仏壇では、己や家族のため、仏様のため、衆生のためを意識して下さいね!