■赤
マニキュアというと西洋から入って来たものですけど、爪を赤く塗る習慣は江戸時代に「爪紅」と呼ばれるものがすでにあったようで、九州や四国では、最近までホウセンカの花で爪を染めていたみたいですね…。爪を赤くすると、蛇にかまれないとか、カッパに引き込まれないとか言われていたらしい…。
紅で化粧をするのは世界的に共通していて、中国では殷の酒池肉林にふけった悪王として知られる紂王の時代から、エジプトではミイラの爪もホウセンカを使って赤く塗られている。これらの風習では”赤”という色が重要な訳で、多くの文化で、赤という色には魔除けの働きがある!と信じられている。

かつては、男の42歳の大厄に赤い六尺ふんどしを締める風習も多くの地方であったみたいですし、赤ん坊の着物に赤い糸で背守りを縫い付けると、荒神様が寄り付いて赤ん坊を守ってくれるとも言われてますしね…。
戦時中に出征する兵士に贈った「千人針」は、赤い糸で1000個の結び目を縫った布で、これを締めると鉄砲の弾に当たらないと言われた。女性が一人一つずつ結び目を縫ったのだけど、寅年生まれの女性は自分の年だけ縫い、これは「虎は千里を走り再び戻る」と言う言い伝えから来ている。また、漁村では不漁が続くと女房たちがお宮や船霊の前で赤い腰巻をまくる仕草をしたという…。
