■ハーメルンの笛吹き男
グリム童話に「ハーメルンの笛吹き男」という話があるのをご存知だろうか?有名な話だから、皆さんよくご存知とは思いますが…。だんだらの服を着て、不思議な笛を吹き鳴らす男が、ネズミの害で困りはてていたハーメルンの町に現われる。笛の音につられてネズミがみんな川の中に飛び込んでしまうと、今度は町の人々は笛吹き男に報酬を支払うのを渋り、怒った笛吹き男は、子供たちを笛の音でさらって山の中に消えてしまった!というどことなく不気味な話…。
ハーメルンはドイツのデュッセルドルフから電車で4時間あまりの小さな山間にある…。もちろん実在する町で、この「笛吹き男」の事件も、起こった日時がきちんと解かっている歴史上の事実であるのをご存知だろうか?これは童話ではないのね…。
1284年の6月26日、連れ去られた青少年(必ずしも子供ばかりではなかったようだけど)は130人。この話を伝える最も古い資料は15世紀前半のもので、それによると、笛吹き男は30歳前後の美貌の若者だったようで、ネズミ退治の話はなく、さらわれた者たちのその後も伝えられていない…。

答えは大規模な移民である…。

当時のハーメルンの人口はたかだか2000人にすぎなかったというから、130人もの若者が出て行った後の寂しさはひとしおで、これが伝説になり、童話に残ったのが真相だろうと思う。
今でも、笛吹き男と若者たちが行列をつくって通り抜けて行った道は、ブンゲローゼ(音楽禁制の道)と名付けられ、楽器を奏でる事は禁止されているという…。