■狼男
世界の三大モンスターと言えば、吸血鬼ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男ですよね?狼男の伝説は、フランスを中心に、ヨーロッパ諸国で広まった伝説のようで…皆さんご存知のように、満月の真夜中に、人間の男が発作と共に突然、猛獣のような体毛や牙、鋭い爪を生やし、狼男に変貌して行く…。狼男は次々に人々を襲い、殺して行ったと言われている。
16世紀から17世紀に書かれた「巫覡論」(ふげきろん)には、次のような狼男の実在記録が残されている。1574年、少女がフランスのフランシュ・コンテ地方の山の中で、狼男に食い殺された姿で発見された…。その後、狼男のような野蛮で汚い格好をしたジル・ガルニエという男が捕らえられ、「人狼裁判」にかけられた!という記録が残っている。そして、彼は狼男の姿で、4人の幼児を食い殺したという罪で、火炙りの刑に処せられた…。ある説によると、当時数百人以上の狼男が、ガルニエと同じような罪で処刑されたとされている。かなり、魔女裁判に近いものを感じますよね?

1951年に、フランスの田舎町、ポント・セント・エスプリットで原因不明の病気が流行した。医師は最初は盲腸炎だと思っていたらしいのだけど、2日間で、200人以上もの似たような症状の患者が現れたらしい…。しかも患者の多くは、腹痛だけでなく、目がうつろで幻覚を見る、他人に大声で話し掛ける、病院を抜け出して町中を走り回る等の奇行をとっていた。医師たちが患者たちの食べ物を調査したところ、全員が同じパン屋のライ麦パンを食べていた事が判明する。
そこでパンの成分を分析すると、本来なら含まれているはずのない「アルカロイド」という毒素が見つかった!原料のライ麦が「麦角病」という植物病に侵されていたのだという…。この麦角病の菌核は、多量の「麦角アルカロイド」という毒素を含んでおり、これが体内に入ると精神錯乱、しびれ、幻覚等の中毒症状を引き起こすのだそうだ。町の人々は何も知らず、この麦角病のライ麦を使用したパンを食べ、麦角中毒に陥った!というのが、狼男の伝説の真相ではないか?と言われている。

ただ、牙や爪は何処に行ったの?っていう疑問も残ってしまうのも事実で、狼男っていうのも、それらの病気なら狼って、何処から出てきたんだろう?って思ってもしまうのですけど…。