■ベトナム(8)・・・・田舎の生活 (1)
(2013年7月15日) 日本語学校の生徒達に、週末の旅行に誘われた。
目的地はホーチミンから南に170キロくらい行ったところにある、ベンテー県バオツアン村という場所である。
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ここは女生徒の中の1人の故郷で、クラスの20人中18人が行くそうで、それに私も参加を希望された。
特に断る理由も無いので行くことにしたが、これが大変な旅であることが後から分かる。
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生徒達はバイクの2人乗りで行くそうだが、私は危険なのでバスにした。バスといっても定期運行のバスではなく、乗り合いチャーター便のようなもので、同じ方面の人達が集まって一緒に行くのである。
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集合場所は普通の民家の前で、既にマイクロバスが来ていて数人の人が乗っている。
予定では11時30分に出発ということだが、運転手もいないし、いつになったら出発するのか分からない。
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12時15分になり、15席の椅子が満席となったところでバスは出発した。私に同行するのは、比較的に日本語が分かる女生徒1人と男子生徒2人である。料金は家の前まで行ってくれて、7万ドン(350円)である。
着いた田舎はただの田舎だった。
平地で山も無く、景色が良いとは言えない。
米作の本場なので、田圃は多い。
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しかし日本のように苗を植えるのではなく種まき方式なので、田圃は雑然としていて美しさに欠ける。
今晩の宿をお世話になる女生徒の家は、米作りと塩作りで生計を立てている。お母さんは親戚総出でご飯の用意をしている。
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この村に水道は無い。
雨水をカメに溜めて、それで全ての生活をしている。
飲み水は雨水を煮沸して飲む。トイレは肥溜めのポッタン方式である。
電気は貴重品なのか、家の中は暗い。冷蔵庫などはあるはずもない。
当然だが、ガスなど無いから焚き木でご飯を炊いたり、煮物をする。
ニワトリやガチョウが庭先を歩き廻っている。
平成の時代の東京から来た私は、なんだか明治時代にタイムスリップしてしまった。
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(おまけの話)
晩ご飯の後は、みんなが集まり私の話を聞きたがる。
延々と話をしたが、日本語がよく出来ない彼らにどこまで分かったか?
ゆっくり、易しい言葉に置き換えて話すので、こちらも疲れる。
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11時半になったので、風呂に入って寝ることにする。
風呂場に案内されてビックリした。
家の裏手の藁葺き屋根の小屋に、水を溜めたカメが置いてあるだけである。
その水をすくって体にかける。電気が無いので、懐中電灯を使う。
男子生徒が、私を懐中電灯で照らしてくれる。
これでは入浴とはほど遠い。
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入浴後は生徒達はその辺にごろ寝である。
私だけにベッドを用意してくれていたが、どうやらこのベッドはこの家の主のベッドのようだ。
でも懐かしい蚊帳付きのベッドで、熟睡出来そうだ。
ところが横になってみたら、とても寝られる代物ではない。
マットレスどころか、敷物も無いベッドは竹で出来ている。
横になったら竹の節がゴツゴツしていて、体中が痛くなる。
それでも客人の為に用意されたガタピシと音を出し続ける扇風機もあり、特別扱いに感謝してウトウトしながら朝を迎えた。
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