■羽田沖でジャンボの捕獲を狙う
(2016年5月13日) 思い掛けず、「第13回港区観光フォトコンテスト」に入選した。
その時の賞品の中の1つに「羽田空港沖からジャンボ機撮影のクルーズ」の無料招待券が2枚あった。
これを利用するために申し込みをして、5月8日(日)に娘と2人で出掛けて行った。

船の出港場所はモノレールの天王洲アイルの近くの桟橋で、時間は午前10時だった。ここから船に乗り羽田沖に出て、そこで羽田空港を離着陸するジャンボ機を撮影するというだけのクルーズである。
だから乗客は写真が好きな人ばかりのはずである。
通常の乗船料金は1人4700円で、時間は3時間半のクルーズであった。

9時に家を出たら、9時45分に現地に到着した。そして船は10時丁度に出港した。乗客は全員で15名で、この船に乗っているのは、みんな中年以上の男だ。
しかも単独で無口で、「オタク」っぽい男ばかりで自分の世界に入り込んでいる。カメラも高価なものを持っているし、レンズは500ミリ以上の人が多い。

そんな中に私の娘はスマホで参加したので、やり難そうだ。
だが飛行機オタクのみんなは、他の人のことなど何も気にしていない。
船はレインボーブリッジの先で東京湾に出て、右手に大井埠頭を見ながら進む。

出発から40~50分で羽田沖に到着し、船は一時停止する。
その場所はD滑走路から離陸する飛行機が良く見える。
男たちは良い写真を撮りたいと思い、ライフジャケットを着て船首の方へ行き、カメラを構える。私は暑いので、屋根の下で撮影する。

しばらくその場で撮影をしてから、船はA滑走路の見える場所に移動する。
この日は風向きの関係か、A滑走路に次々と飛行機が着陸して来る。
そしてまた船は動き出し、C滑走路の見える場所に移動する。

この場所は飛行機が船の真上を通過して、C滑走路に着陸するので迫力がある。次から次へと着陸する飛行機は、まるでJR中央線のラッシュアワーなみだ。
十分に飛行機の撮影を堪能して、3時間半のクルーズは終った。
私は天気男なので大丈夫だったが、誰でも天気さえ良ければ、これはお値打ちクルーズだと思う。

(おまけの話)
羽田沖で船が停止して20分くらいしたら、機体にキティちゃんの絵が書いてあるANAの飛行機が離陸態勢になって滑走して行くのを私は見付けた。すぐに娘に知らせたが、彼女は写真を撮るのが間に合わなかった。

その時、隣にいたオタクっぽい男が、「あと15分くらいで、A滑走路に着陸するキティちゃんの飛行機が来ますよ」とポツンと言った。
彼はスマホを見ながら、イヤホンで何か聞いている。
「ここまで来て、野球が気になるのか?」と私は思った。
15分くらいしたら、彼が「この次の次の飛行機がキティちゃんです」と教えてくれた。

でも、その飛行機はかなり向こうに豆粒くらいの大きさにしか見えない。「なぜ分るのか?」と私は不思議でならなかった。
帰りのモノレールの中で娘が私に言った。
「あの人はかなりオタクっぽかったので、彼は管制官とパイロットの会話をイヤホンで聞いていたのだと思う」。
「そうかー!オタクになると、そのくらいのことはするんだー」と、賞品のタダ券で参加した私は「オタクの奥の深さと、入れ込む気持ちの強さ」が分かっていなかったのである。
