■丘の風車
伊達の丘の上からも望めるのだが、遠く黄金の丘の上に風車が回っている。 全部で5基ある。風力発電の風車である。

伊達市南黄金町にある伊達ウインドファーム(民間企業)という風力発電所である。1基あたり2000kWの風車を5基設置して総出力10000kWを得る能力があるとのこと。この10000kWという出力は、年間およそ6600世帯が使用する発電量に相当するとのことである。
2011年11月末時点での伊達市の世帯数は17827世帯(人口36614人)であるので、丘の上に3倍の15台の風車ができると、伊達市の全世帯の電力が賄える計算となる。これはわたしが思っていたより大きな電力に感じた。
風車の回転の中心までは、地上から77mの高さがあり、ローターと呼ばれる羽1枚の長さが40mあるので、風車の地上からの全高は、120m近くになる。
黄金の丘にこの風車を建設するに際しては、約10年間くらい風についての調査をしたそうだ。場所による風の向きや強さを計測して、10年間のデータに基づき最も効率のよい場所と向きに風車を建設していった。
起動風速は、3.5m/秒、定格風速は、13m/秒で、停止風速は、25m/秒とあり、あんまり風が強くなったときには、危ないので止める構造になっているようだ。
アップウインド方式のローターの3枚羽根は、定格では19回転/分の回転数で回る。
風車メーカーは室蘭の日本製鋼所で、2011年11月から営業運転に入り、発電した電力は全て北海道電力に売電しているとのことである。
ちなみに、5基の風車の番号を山側からナンバー1、ナンバー2と数えると、ナンバー4までは等間隔であるが、ナンバー5は、かなり間隔が開いている。ナンバー4とナンバー5の間に北海道電力の送電線が通っているためとのことである。
2011年11月中旬に伊達市が主催する「次世代エネルギー施設見学会」というのに参加した時に、この黄金の丘の風力発電の風車も見学した。直下までは近寄れないので、少し離れた場所からであったが、件の説明を聞いていろいろなことが分かった。
わたしがよく出かける室蘭岳からもこの風車は近くに見えて、ちょっと気になっていた。
風車の直下に行ったわけではないので、本当の風車の大きさを実感していないが、「120mの高さの構造物」といえばかなりの大きさである。そんな大きさだから5基で、6600世帯分の電力を賄えるのだろう。
この日は、他にも大滝地区の「木質ペレットのプラント」見学や、伊達の長和地区にある北海道電力のソーラー発電所の見学があった。
伊達市では、現在「次世代エネルギーパーク」の認定を目指した活動を続けて、昨年11月末に内定を受ける所に来ていると、聞いている。
新しいエネルギーを身近に感じてもらおうという主旨で、国が推進している活動で、2011年3月現在、全国で33件の施設がエネルギーパークとして認定されている。北海道では、稚内、札幌の2地域のみである。
新エネルギーとは、太陽光や風力、地熱などの自然の力を使った再生可能なエネルギーであり、発電分野で云えば、中小規模水力発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電(バイナリー方式)などが充たる。
「次世代エネルギーパーク」の要件としては、複数の種類の新エネルギー設備、地域の中でそのエネルギーを使っている、その地域の特色を出しているなどが挙げられる。
伊達市の場合は、黄金の丘に風の通り道の風力発電、畑作などが盛んなことで裏付けられているが、比較的日照時間が多いことを活用した太陽光発電、大滝地区の森の間伐材を利用した木質ペレットの生産などが組み合わされたコンセプトを作っている。
我家のそばの西小学校初め、小中学校、コミュニティセンター、観光物産館などの屋上への太陽光パネルの設置や市役所、体育館などの大型施設への木質ペレットボイラーの設置などが進んでいるようだ。
伊達市を含むこの周辺は、洞爺湖有珠山ジオパークの地域で、生きた地球を学ぶ場でもある。次世代エネルギーパークとして環境学習の場も整備されてくる。この地域の特色として、地球や環境と観光などがつながって来るイメージを作る必要がありそうだ。
(2012-1-16記)