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期限切れ食品

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久しぶりに冷蔵庫の中を整理した。忘れられた食材が、奥のほうで静かに期限を過ぎていた。
こうなるたびに、実家の冷蔵庫を思い出す。帰省のたびに開けると、もうこれ以上入らないというくらいの食材が詰め込まれていた。特に食べ残しのおかずが小分けにされ、所狭しと並んでいた。あれを反面教師にして、我が家の冷蔵庫にはなるべくものを入れすぎないようにしてきたつもりだったのに、気づけばこの有様である。

親の世代は、終戦後の貧しい時代から豊かさへと向かう過程で、食べ物が溢れていることに特別な安心感を覚えていたのだろう。冷蔵庫をいっぱいにするのは、その名残だったのかもしれない。ただ、歳をとると消費が追いつかなくなり、食べ残しも捨てられずに溜め込んでしまう。それは今の自分を見ていてもよくわかる。

今回の整理では、ソース類やドレッシングなど、開封してからずいぶん時間が経ったものもあった。ここで気になったのが、賞味期限と消費期限の問題である。前者は「おいしく食べられる期限」、後者は「安全に食べられる期限」を指すが、かつてこうした表示はなく、あったのは製造年月日だけだった。
つまり以前は、いつ作られたかという情報をもとに、食べられるかどうかを自分の五感で判断していた。においをかぎ、色を確かめ、少し口にして「これはもう危ない」と察知する。いわば食の安全を、自分自身が引き受けていた時代だ。

それが変わったのは、コンビニの弁当やレトルト食品が普及し、製品の種類と保存技術が複雑化したためだろう。メーカー側が期限を明示することで、消費者はその数字を頼りに判断するようになった。整理はしやすくなったかもしれないが、その分、自分の感覚を使う機会は減っていった。

冷蔵庫を前にしながら、そんなことを考えた。「まだ食べられるかな」と自分の味覚を頼りにはできず、自信が持てず捨ててしまう食材もある。あるいは逆に、感覚より表示を信じすぎて判断を誤る。五感で危険を察知していた能力は、静かに、確実に、錆びついていくのかもしれない。

冷蔵庫の中

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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