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恩返し(2)

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変わり果てた先輩の姿を見て、俺は一瞬言葉が出なかった。すると、先輩の方から「いやいや、久しぶりだね。よくきてくれた。俺もこんな姿になってしまったから、人前にもあまり出ないもんで…..」と話しかけてきてくれた。

二人で喫茶店にはいると、病気の話や、札幌の先輩たちのことに話が及んだ。彼の話によると、今は寝る時もその酸素ボンベを手放せないという。「どうもならん。」と少し冷笑気味に下を向く表情を見て、俺はとても悲しくなった。

なんだかんだと1時間ほど話をして、椅子に座ったままの先輩を残して俺は帰ることにした。先輩は話を沢山して疲れた様子で少し休んでから帰ると言っていた。

帯広から豊浦に帰る車の中で、俺は札幌の先輩たちに報告をしないといけないと思いながら、あの姿でいつまで元気でいられるのかと心配になった。そして、これは無理やりでも先輩たちを引き連れてすぐにでも帯広に行かないとダメだと確信した。

札幌の先輩たちに報告しながら、俺はみんなで会いに行きましょうよと誘った。先輩たちは少し躊躇っている様子もあったが、強引に日取りをしてちょうど1週間後に苫小牧で合流して車で一緒に行くことにした。帯広の先輩にはちょっと渡すものがあるからということでまた会う約束をしたが、札幌の先輩たちを連れて行くことは内緒にしておいた。サプライズにしたかったのだ。

今、こうして自分が生きていられるのも、彼ら先輩たちのお陰である。彼らがいない自分の人生は想像もできない。その縁には感謝しかないのである。そして、これまでお世話になってきたことに何もお返しもできていなかった中で、今この時こそ、先輩たちに恩返しができる。俺はそう確信した。

そして1週間後。先週と同じ喫茶店で4人は久しぶりに再会した。札幌の二人は、その変わり果てた先輩の姿に少しびっくりはしていたが、帯広の先輩は涙ぐんで何度も「いやあ、うれしい、うれしい」と言ってくれた。みんなで昔話に花が咲き、気づけば2時間以上話をした。楽しそうにしている先輩たちを見ながら、俺はボンベの酸素量のことも気になったので、この辺で切り上げましょうと声をかけた。

帯広から戻る車の中、我々はしばらくの間、無言だった。喫茶店での話を思い返して、一緒に共有してきた色々な思い出をまた振り返りながら、この先そう遠くない将来に起こることを暗黙のうちに共有した時間だった。

別れ際に二人ともに感謝をしてくれた。俺は無理矢理にでも二人を連れて行って本当によかったと思った。そしてひとつだけ、恩返しができたと思いながら、なぜかとても寂しくなった。

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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