■赤間神宮
有名な怪談「耳なし芳一」…。盲目の琵琶法師・芳一は「平家物語」の弾き語りを得意としていた。ある時から、彼は夜な夜な墓地まで出かけ「壇ノ浦」の段を演奏するようになる…。平家一門の亡霊たちが芳一を呼び寄せ、自らの悲劇を聞き哀れんでいたからで…。それに気が付いた阿弥陀寺の和尚は芳一を守るため、彼の全身に般若心経を書き、平家の亡霊と接触させないようにする…。
ただ、耳にだけ経文を書き忘れたために、怨霊は芳一の耳を引きちぎり去って行った…。

舞台となった山口県下関市阿弥陀寺町にあった阿弥陀寺は明治の神仏習合から「赤間神宮」と改称され、現在も下関の海沿いに佇んでいる。壇ノ浦の戦いで早い死を迎えた安徳天皇を主祭神としていて、平家一門を慰める「七盛塚」も建てられている。その斜め向かいのお堂に安置されているのは、戦後に寄進された芳一の木像…。この木像すでに両耳が無く、怨霊との一件があった後の更に琵琶の腕を上げた後の姿なんでしょうかね…。その造形があまりにも哀愁と悲壮感を漂わせているせいか、芳一像と怪異体験を結び付ける方も多い。”参拝後、体が重くなった””神宮前の道路はやたらに事故が多い(単に交通量が多いからでしょうけど)”等…。

心霊スポットと揶揄されるのは平家一門も不本意でしょうけど、でも自分たちに関係のない歴史と切り捨てるよりは、その悲哀にシンクロして脅える感受性を持つほうがマシなのかもね…?下関に行かれる方は、フク食べる前に一度お参りを!