■お菊ちゃん人形
北海道に住んでいながらこの題材取り上げないのはどうよ?と思い、今回は岩見沢というか栗山の浄土宗「萬年寺」に納められて供養されているお菊ちゃん人形を紹介しようと思います。全国的にも有名だから、皆さんもご存知とは思いますけど…髪の毛が伸びるその人形は、古ぼけた着物を着た身長40センチの市松人形で、まず異様な風貌に驚かされます。
私が感じた違和感は、目が黒目だけで瞳がない!黒い樹脂かガラスのようなものが埋め込まれているのだけど、それが自然光に鈍く反射していて…。少し開かれた口元は顔全体に笑みを浮かべた表情を作ってはいるものの、どこか強張っているようにも見える。そして、問題の髪の毛は長く伸びて足下にまで達している…。

大正7年8月15日、まぁお盆ですわ。札幌で開かれた大正博覧会を見物に来ていた鈴木永吉さん(当時17歳)が、妹の菊子ちゃん(当時2歳)の土産にと市内の商店街でオカッパ頭で胸の鳴る日本人形を買い求めた…。兄からもらった人形を菊子ちゃんは、とても大切にしていたみたいなんですが、大正8年1月24日、風邪をこじらせたようで、3歳で生涯を終えてしまう…。
葬儀の際、永吉さんは人形を棺に入れて送り出そうとはしていたそうなんですが、何故か入れ忘れてしまったそうで…。出棺後、発見された人形を菊子ちゃんのお骨と一緒に仏壇に安置し、生前の菊子ちゃんを思い出しながら朝夕回向したという…。
その後、樺太に移住する事になった永吉さんは、昭和13年8月16日、菊子ちゃんと自身の父親のお骨と共に、箱に入れた人形を萬年寺に託し、樺太に出発したらしい…。
戦後、2人の追善供養のための萬年寺を訪れた永吉さんは驚いた!明らかに人形の髪が伸びている!間違いなく以前の人形よりかなり髪の毛が長い!不思議な事もあるものだ…と、永吉さんは改めて人形を寺に納め、永年供養を願い出たそうで…。
