■ルルドの泉
フランス南部・ピレネー山脈の麓に位置するルルドは、人口15000人ほどの小さな村なのですが、年間400万人もの人々が奇跡を求めて訪れる世界最大級の聖地である事は、皆さんもよくご存知なのではないでしょうか?人々の目的は、病気の治癒で有名な「ルルドの泉」であり、日本でも多くのルルドの泉訪問ツアーが組まれている。実は、この奇跡の泉は自然に出来たものではなく、その誕生には、一人の少女が関係している…。
ことの始まりは、1858年2月11日の事、ルルドに住む14歳のベルナデット・スビルーが、マサビエルの洞窟のそばで流木を集めていた時、突風のような音が聞こえ、洞窟の方を見ると一部の木々だけが揺れており、洞窟の中から金色の雲が現れた!その中にまばゆい光を放ち水色の帯を白いドレスの上に着け、頭から白いベールを被り、手に白い玉と金の鎖のロザリオを持った、微笑みをたたえる聖母マリアに出会う…。実は、この時、他の2人の少女と共にこの洞窟を訪れていたのだけど、聖母マリアの姿を目にしたのは彼女だけであったという…。

狭い村内にその噂が瞬く間に広がると、ベルナデットの洞窟訪問に合わせて、多くの人たちもその場に集まるようになった。ただ、ベルナデット以外の誰の目にも、聖母マリアの姿は見えなかった…。
しかし、ついに誰もが聖母マリアの存在を信じざるを得ない出来事が起こる!同年2月25日、ベルナデットは人々が見守る中で祈りを捧げると、聖母マリアは「その泉の水を飲み、顔を洗えば奇跡が起こる」と告げる。マリアの指示に従って、彼女が洞窟内の地面を手で掘り始めると、突如として水が湧き出し、泉を形作る…。後に数々の奇跡を生み出すルルドの泉の誕生である。
この泉で初めて奇跡が起こったのは、3月1日の事で、2年前に木から落ちて右腕を痛め、指が麻痺した女性が、ルルドの泉に右手を浸したところ、なんと!指の機能が回復してしまったそうだ…。この事例は、ルルドの医務局にある奇跡発生名簿に、第一号の奇跡として正式に記載されている。
この奇跡が近郊の村や町に伝わると、翌日には2000人の群集が泉に集まったらしい…。そして、奇跡の恩恵にあずかる病人が続出した事で、ルルドの泉の名は国中に広まり、さらには世界的な知名度を得るまでなった…。ただ、病から回復する人々とは反比例して、ベルナデットは日を追って体調を崩して行った…。「ベルナデットの体に触れると病気が治る!」という噂が広まり、彼女の元を訪問する病人らが大挙押しかけたため、精神的に疲れ果て、彼女は22歳で聖地ヌベールにあるサンジルダール修道院に入り、その一生を信仰に捧げ、1879年35歳の若さで肺結核のためこの世を去っている。ところが、彼女に舞い降りた奇跡は死後もなお続いた!

1925年4月18日、再び彼女の墓が掘り返されたが、やはり以前とまったく同じ状態で、死後40年が経過してもなお、彼女の遺体は腐敗する事はなかった!当時彼女の遺体を調べた外科医のタロンという医師はその3年後に、医学誌に「ベルナデットの骨や筋肉はまったく腐敗しておらず、死後直後に真っ先に腐り始めるはずの肝臓が完全に保存されている…」と発表している。
現在、ベルナデットの朽ちない遺体はガラスケースに収められ、同修道院の大聖堂に安置されている。一度皆さんも生の奇跡に対面して欲しいです。