■餅
正月に餅飾りますよね?2,3段に重ねられた丸い餅の上に、みかんが載っている様子は、今でも多くの家庭で見られます。この鏡餅は霊(歳神様)が降臨するためのもの、いわば座布団みたな物で、新年、それぞれの家にやって来た先祖の魂は、鏡餅に宿り、一族を見守るとされている…。
そもそも鏡餅という名の謂れは、古代の鏡にある。その時代、鏡といえば青銅が主だったのだけど、神事に使われる聖なるものであり、鏡はこの世とあの世の境界と捉えられていた…。鏡餅が古代の鏡のように磨き上げられているのも、その名残といえるのではないでしょうか?

実はこの餅がかつては「お年玉」だったという…。(お年玉は別にもらいたいけど…)今ではポチ袋に入れた現金でしょうが、昔は歳神様に捧げた供物を、家長が子供たちに分け与えていた。この一つが餅だった!その頃は「歳魂」と呼ばれていた事からも、霊が宿っている事が窺える…。
歳神様が運んできた運気と力が降りた鏡餅を、家長が子供たちに与え、家族みんなで先祖を「食う」…これがお年玉の起源だという…。今でも住時の名残として、正月になると子供に丸餅を配る地方もある。現代のように現金のなったのは江戸時代からだと言われている…。
日本人の文化に密接に関わっている餅ですが、反対に正月には餅を食べない!という地域もある。これを「餅なし正月」というのだけど…。

また栃木県には「鬼怒川から農業用水を引く工事が終わるまで正月も餅をつかずに働く」と願掛けをしたという伝承が残っていて、やはり現在でも「餅なし正月」を行う地域がある。様々な理由から、日本各地に残っている風習ですが、その根底には貧しい庶民の苦痛の歴史が横たわっているのかもね…?