■オートバイの怪しいオヤジ(2月6日)
この日は最終目的地のトラのいるタラ村(Tala)までである。
出発時間が少し遅いので、早起きの私とY君は朝食後に散歩に出た。
守衛の居るホテルの門を出ると人力三輪タクシーが居た。
そこで交渉してみた。
私 『カジュラホ遺跡まで往復で幾ら?』
運ちゃん 『わかんなーい。』・・・と言っているらしい。
私 『100ルピーでは?』
運ちゃん 『OK』・・・・これだけは判ったようだ。

人力三輪タクシーは静かに早朝の田舎道を進んで行く。
そこへ後ろからオートバイがやって来て、私達に並んで走る。
オートバイの男 『カジュラホ村に行くといいよ』
私 (無視)
オートバイの男 『どこから来たの?』
私 『ガイドは要らない』

それでも男はオートバイで付いて来る。かなり怪しい男だ。
村に着いたら運ちゃんが『少し村の中を歩いてみたら』みたいなことを言っているらしい。
その内にそのオートバイ男の案内で学校を見たり、古い民家を見たりしてしてしまい、遂に彼の家の前に来た。
なかなか立派な家で、どうやらその村の村長の家らしい。

オートバイ男が寝ていた弟を起こして来た。
眠そうにして出て来た弟は、流暢な日本語で、『私は大阪のダイハツで8年間働いていた。』と言って、キャタピラー社のフォークリフトの免許証を見せてくれた。
その家でお母さんのいれてくれたミルクティをご馳走になり、ホテルに戻ったのである。
変な田舎村で、変な経験をしてしまった。
(おまけの話)
インドでは日本と同じで、車は左側通行である。
この辺りの道路は2車線なのだが、舗装は真ん中の1車線だけである。だから、みんなが真ん中を通りたがる。
頑張り過ぎたのか、そのせいで正面衝突した車をよく見掛ける。

ある田舎町に入ったところで、車が急にガタガタと揺れた。
これはパンクである。
運転手が車を左端に停めた。
すると、なんと、そこはパンク修理屋のまん前だった。
なんか怪しい。
仕組まれているような感じだが、証拠は無い。
あまりに出来過ぎている。
店の少し手前に釘でも撒いているんじゃないかと疑りたくなる。
タイヤ交換をするかと思ったら、そうではなく修理をする。
なぜなら、田舎で交換したタイヤがまたパンクしたら、もうお手上げだからだ。
修理中には近所の子供も大人もみんな寄って来て、我々を興味深そうに見ている。

仕方ないので、屋台の店で7人の子供に食べ物を与えた。
とんだ田舎町で、パンクのせいで子供と交流してしまった。
これがインドの『バクシー』である。