■小幌駅の幻の円空菩薩像
ある人から『室蘭本線の秘境の小幌駅』という話を聞いた。『秘境』とか、『秘湯』という言葉に弱い私は、なんとかそこへ行きたいと思った。
伊達市にあるこのブログを管理している会社『アップデート』のY社長なら判るかもしれないと思い連絡してみた。
すると、『小幌駅のことなら、自分が一番良く知っている。何回も行っている』と連絡があった。
それならと、ついでにガイドもお願いした。
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そこは伊達紋別駅から各駅停車の列車に乗って7駅目で、1時間近く掛かり、トンネルとトンネルの間の僅かな隙間にある駅である。
小幌駅に止まる列車は1日に往きはたったの3本、帰りは5本しかない。
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小幌駅に着いたら、なにもない。駅舎すらない。
雨の中を、駅から始まる急な山道を恐る恐る降りる。
200メートルくらい下が海岸となっている。
そこには洞窟があり、中には円空作と言われる仏像が安置されていた。
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岩屋の説明書きには次のようなことが書かれていた。
『1666年に、仏師・円空がこの洞窟で仏像を彫り、そこに安置した。
その後、修行僧がこの洞窟でクマに襲われたが、その仏像の陰に隠れて命拾いをした。その時に仏像はクマに首から上を喰いちぎられた。そして1894年に首は修復された』と、書いてある。
私も仏師であるから判る。『この話は嘘ではないか?』・・・・・と思う。
第一に円空の技法で彫られていない。
第2に仏像の高さは30センチくらいなので、仏像の陰に隠れることは出来ない。
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(おまけの話)
小幌駅で、我々につられて降りようとした若い家族連れがいた。私が『次の列車は3時間後ですよ』と言ったら、慌ててまた乗車した。
私が注意しなかったらあの家族はどうなったんだろう?
3時間後に、小幌駅で帰りの上りの列車を待っていたら、反対の下りの列車が停まった。3人の若者が降りて来た。
どうやら鉄道マニアのようだ。
すぐ後に来る我々の乗る上りの列車に乗って帰るつもりのようだ。
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私は1人に声を掛けた。『どこから来たの?』
彼は『大阪』とつれない返事だ。
私は3人組だと思ったので、もう1人に同じ質問をした。
すると『埼玉』と言う。その先の会話が続かない。
なんだか大人とはまともに話も出来ない若者だ。
3人は全く別々にここへ来たようだが、彼ら同士でも全く話はしない。
小太りで、暗い感じで、カメラを持っている。
鉄道ファンがみんなこんなとは思いたくないが、なぜか同じ3人であった。
上りの列車来たら、みんな乗ってどこかへ帰って行った。