■コロナの銀座の夜
丸一日、家から出ないと、体が鈍ってしまうような気がする。
特に天気が良い日には、特にそう思う。
3食を家で食べてゴロゴロしていたのでは、太るばかりだ。
コロナ前は昼は家で食べなかった私の為に、女房はシッカリと昼食も支度する。ズボンのベルトの穴が、1つ移動してしまった。
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ベルトの穴がこれ以上移動しないように、夕食後に1人で、ウォーキングに出た。
女房が「どっち方面に行くの?」と聞いた。
私は「コロナの銀座の夜を見て来る。4丁目交差点で手を振るから、LIVE Cameraで見てくれ」と言って家を出た。
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この日は気温が28度で、夜でも23度もあった。
マスクをしてマンションを出たが、少し歩くとマスクの中に汗をかく。
暑くて堪らないので、マスクを外す。
風が吹いて頬を叩き、気持ちが良い。
周りの人はみんなマスクをしているので、マスクをしない私のことを冷たい目で見ている。
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マスクは屋外で、しかも人と人が離れている場合は不要ではないかと思うが言えない。咳をしたわけじゃないし、非難される筋合いじゃない。
日本中が「マスク教」の信者のように感じる。
テレビ報道でも伝えていたが、「気温の高い時は、マスクで熱中症になるので注意」・と。
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勝鬨橋を渡り、築地市場を左に見ながら、先を急ぐ。
「Uber Eats 」の自転車が何台も私を追い越して行く。
銀座に着くまで数えたら、9台もいた。
午後8時30分に銀座4丁目の交差点に到着した。その少し前に家にメールで、私の到着時間を知らせておいたので、たぶん「LIVE CAMERA」 で私を見ているだろう。
少し経ったら、携帯電話に私が映っている映像が送られて来た。
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銀座通りを新橋方面に向かう。なんとなく街が暗い。
もうこの時間では、歩いている人も数えるくらいしかいない。
7丁目付近で路地に入り、金春通りで銀座の「夜の社交場」を見に行く。
通りには黒服の男達が客待ちをしている。
クラブやバーのサインの電気は点いているが、お客はいないのか寂しい感じだ。
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外堀通りに出て、数寄屋橋交差点に向かう。
この辺りには「ネオン街の大家」として一世を風靡した、「丸源ビル」がたくさんある。オーナーが亡くなってから勢いが途絶えたのか、ビルに架かるネオンが切れている。
交差点に出たら、角の「TOKYU PLAZA」も臨時休業中で、向かいの不二家のネオンも消えている。
コロナ前なら、「これから夜の銀座が始まる」という時間だ。
寂しい夜の銀座を徘徊し、汗びっしょりで家に帰った。
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(おまけの話)
貧乏性の私は暇を持て余すと、どうしていいか分からない。
そこで気が付いた。今までにメールを送信してもエラーになっていた人達に、なにかの方法で連絡してみようと思ったのである。
そして、また気が付いた。
携帯電話番号は通信会社を変えても、同じ番号のはずだ。
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ネオンが切れていて、昔の勢いは無いようだ。
そこで少しの期待を込めて、2人の電話番号にショートメールを入れてみた。すると嬉しいことに、送信した2人から連絡があった。
1人は同級生のAさんで、彼は私に電話をして来てくれた。
そして「息子が38度の熱を出した。コロナを心配して、彼を1週間、部屋に隔離した。翌日は呆気なく熱が下がった。小雨の中を歩いたのが悪かったようだ」。
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伊達市から、Bさんがショートメールで返信をしてくれた。
彼からのメールでは「5月16日に孫の結婚式で東京に行く予定でしたが、コロナの影響で中止となりました」とあった。
偶然とは言え、久し振りの連絡なのに、2人共コロナの話題が出ていた。コロナ騒動が無ければ、この2人は音信不通のままで終ったかもしれない。
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