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野望(TSBその1)

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「野望」とは「身の程を知らない大それた望み」という意味らしい。
どうやら「野心」よりも自分勝手の欲望のニュアンスが強そうだ。
この歳になり、これまでいくつも「野望」を持ったことを思い出す・・・

テーブルシャッフルボード(以下:TSB)というゲームがある。
もとはヨーロッパでシャッフルボードという貴族の競技だったものが
1900年代にアメリカ人がバーのゲームとしてリメイクしてブレイクした。
1920年代には禁酒法によって一時衰退したが、
第二次世界大戦後は復活して人気を博したらしい。
その昔は新聞のスポーツラン欄に野球やボクシングと同じくらい
記事で取り上げられることもあったくらいのこのゲームも
60年代にビリヤードやダーツに取って代わられてからは衰退し、
幻のゲームとなったいわくつきのブツだ。
とはいえ、アメリカでは未だにプロの大会がある競技なのである。

さて、そこで話は35年前に遡る。
俺は1990年代前半、会社に送り込まれたアメリカの中西部で仕事をしていた。
それで地元のカウボーイがいるような田舎の廃れたバーに行くと、
よくこのゲームが置いてあった。それが最初のコイツとの出会い。
当時、バーではアメリカ人とビリヤードをよくやったものだが、
このシャッフルボードというゲームもとても面白いなあと思ったのを覚えている。

その後帰国して本社に戻され、
仕事に忙殺された俺は、すっかりとこいつのことを
忘れてしまっていた。
しかしそれから5年ほどしてから退社し、
俺は小さな貿易商を始めた。
そして、アメリカに商品の買い付けに行った時に
こいつに再会し、
今度はすっかりとハマってしまったのだ。

その時、俺は考えた。


「日本には、なぜコイツがないのか?無いのなら俺が流行らせてやろうか。」


そう思い立った俺の行動が素早かった。
早速、とあるバーに置いてあるこのゲーム台の製造元を突き止め、
テキサス州のダラスに向かったのだ。

それが今から25年くらい前の話。

(つづく)

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犬と暮らしとカヤックと

kayaker

豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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