朝起きたら、天気は晴れだった。土曜日の晴れの日はどこでも混んでいるので困る。
「どこへ行こうか?」と迷ったが、とりあえず図書館に行くことにした。
私が予約してある本は希望者が多く、なかなか順番が回って来ない。
そこで図書館に蔵書されていて、現在は貸し出してない本を借りることにした。

「豊洲ららぽーと」は元IHI造船所跡地に作られた。
図書館を出たら、丁度、都バスがやって来た。
とりあえず、そのバスに乗った。予定の無い私はそんなものである。
途中で降りる予定だったので、スマホを見ていたら通過されてしまった。
そこで豊洲駅前で降りて、「豊洲ららぽーと」に行ってみることにした。

晴海のタワーマンションの間から飛行船が見えた。
「豊洲ららぽーと」は小さな子供を連れた家族連れで賑わっている。
この光景を見ていると、「少子化問題って、どこの国の話?」と感じてしまうほど若者ばかりである。
私は木陰にベンチに座り借りて来たばかりの本を読む。
題名は「いろいろあった人」で作者は伊集院静である。
この本はエッセイ集であるが、大した話でもないのに、さすがに有名作家は上手に書いているので心に沁みる。

木陰のベンチで本を読んだ。
少し先ではピエロが子供相手に風船で動物を作って、それを子供の手渡している。
子供もお母さんも嬉しそうだ。運河の向こう側のビルの間を飛行船が飛んで行った。
運河では遊覧船がゆっくりと進んで行く。気温は高いが風があるので涼しく感じる。
私の座っているベンチの木陰が、太陽の移動で日向になってしまった。
仕方ないので立ち上がり建物内に入る。

ピエロが子供相手に風船で動物を作っていた。
昼飯には少し早いと思ったが、フードコートへ行ってみた。ところがここは家族連れで大混雑である。
早く食べられそうな店は、私の希望の讃岐うどん屋だった。
『シラスおろしぶっかけうどん」を注文し、それを空いた席を探して座って食べた。
520円という値段にしてはとても美味しかった。

「豊洲ららぽーと」の建物内
食後は3階まで行って映画でも見ようかと思ったのだが、見たい映画と上映開始時間の関係で諦めた。
また建物の外に出た。運河沿いをブラブラと歩いて、帰り道のテラスを進む。
釣りをしている人が多い。都会の真ん中で釣りが出来るとは幸せなことだ。
暑い中をランニングしている人達が私を追い越して行く。
『この暑さの中を、なぜ頑張っているの?』と聞いてみたかった。

外ではゴム紐を使ったジャンプが行なわれていた。
豊洲大橋の下で休むことにした。ここには階段状のベンチがあり、橋で日影にもなるので私の好きな場所だ。ボーとして、風景を眺める。ウクライナの悲惨な状況をテレビで連日見せられているので、ここで少し気持ちを切り替えないと「うつ病」になりそうだ。
またカバンから本を出して読み出す。でもなかなか本に集中できない。
本より「ボー」としている方が、心と体が休まるような気がした。
一休みした後に階段を上り橋に出て、暑さの中を家まで歩いたのである。

晴海運河を観光船が進んで行く。
(おまけの話)
昨年の5月後半だったと思うが、マンションの近くの植え込みで「ハマナス」の実がなっているのを見付けた。そこで「花が咲くのを見よう」と思い、翌年の手帳に書き留めておいた。
天気の良い日の4月15日に様子を見に行ったらまだ蕾だったが、私は「開花はあと1週間先」と読んだ。
そして豊洲からの帰り道に期待を込めて見に行ったら、予想通りに咲いていた。

見事に咲いた「ハマナス」の花。
私が北海道伊達市に滞在していた時に、初めてアㇽトリ岬の海岸でハマナスの花を見た。
『ハマナスの咲く頃」で有名な、森繁久彌の作詞である「知床旅情」の一節にあるハマナスである。
歌詞【知床の岬に ハマナスの咲く頃 思い出しておくれ 俺たちのことを 飲んで騒いで 丘に登れば はるか国後に 白夜は明ける】
この歌は大ヒットしたが、その頃の私は「ハマナス」を知らなかった。

ここはピンクのハマナスの花だけだった。
ハマナスを見に行った時も、誰も見に来ていなかった。ハマナスがあるのを知らないのだろう。
花にはアリとミツバチが群がっていた。どうやら他の花より蜜が多いらしい。
このハマナスだが、マンションの友人達に『近くでハマナスが咲いているよ!』と話したが、まるで興味を示さなかった。私が伊達市に滞在したせいだろうか、ハマナスのことが気になっていたのである。
ハマナスの花を見て、私は伊達市でお世話になった人達を思い出した。

アリとミツバチが蜜を求めて、群がっていた。
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