マンションの友人(Xさん)を誘って、新緑の日比谷公園に写真を撮りに行った。
彼はこのブログによく登場する男で、2年前に奥さんを風呂場の事故で亡くしている。
いまは独り暮らしで自炊をしているので、栄養の偏りに心配がある。
Xさんはデジカメクラブのメンバーだが、カメラはコンパクトカメラしか持っていない。
そのカメラも出掛ける時に家に忘れて来る。

大木の根元から小さな小枝が出て来ている
食事の約束を1週間前にしたので、それを忘れていて待ち合わせ場所に来ているか心配だった。
ところが私が5分前に東京BRTの停留所行くと、Xさんは『30分前から来ていた』と言う。
なんだか私が遅刻したような気持にさせられた。
待ち合せ時間はギリギリも困るが、あまり早過ぎるのも困る。

根元から盛大に生えて来た小枝。
新橋でランチの後に、歩いて日比谷公園に向かった。
彼は私より1歳若いのだが、見た目でも年上に見える。
歩き方もヨチヨチ歩きなので私のペースでは付いて来られないので、私が彼に合わせるようになる。
10分ほどで日比谷公園に入る。とりあえずはベンチに座って、記念写真を撮る。
もうこの年になると、『あの時が最後だったなー』ということも起きるので、私は友人と出掛けると必ず記念撮影をする癖が付いてしまった。

チューリップは半分くらいが花弁が落ちてしまっていた。
公園の中央の左側には薄い紫色の「ネモフィラ」が植えられた場所がある。
ネモフィラは「日立海浜公園」のものが日本一だが、ここのネモフィラは少ないがとても綺麗だ。
通り掛かった人は、必ず写真に収めている。
少ないネモフィラを写真に撮るには、低い角度から撮る方が多くあるように見える。
私はXさんにそうアドバイスしたら、彼は『私は大腿骨を骨折してから、屈むことが出来なくなった』と言う。

撮影の仕方によっては、花が沢山咲いているように見える。
ネモフィラの隣には、色とりどりのチューリップが植えてある。
ここも低い姿勢から接写気味に撮ると良いのだが、Xさんは出来ない。
若い女性が私の隣で私を見習ったのか、低い位置からチューリップを撮影していた。
次に「鶴の噴水」の方に行ってみることにした。
松本楼の横を通ったら、ガーデンテラスはお客で満席だった。

ネモフィラの向こうで、大噴水が吹き上げていた。
「鶴の噴水」が凍って以来の再訪だが、新緑に囲まれて鶴が美しく見える。
Xさんは考えも無くシャッターを押しているので、私が撮影ポイントを教えた。
「新緑の植え込みの向こうの鶴」、「赤いツツジ越しの鶴」、「木々の間から見える鶴」などをサンプルを見せながら教えてあげた。同じ場所から撮影しても、Xさんの写真はどこかが私の写真と違うのである。

新緑の中で静かに佇む「松本楼」
公園の大きな噴水のところでも、Xさんは写真撮影をしていた。
出口に向かう時に、私は写真の題材になるようなものを探しながら歩く。
「心字池」の松が美しい。それが水面に映り、なかなか良い構図に見える。
私がカメラを構えても、Xさんはこの構図には興味を示さない。
日比谷公園を出て、私は三越デパートで女房に頼まれた「明太子」を買う予定があるので、Xさんとはバス停で別れたのである。Xさんが今日を楽しんだのかが、気になった。

出口の近くの「心字池」が美しい。
(おまけの話)
Xさんは元々、倹約家なのか?、ほとんど外食をしない人だった。
ところがある日、私に言った言葉に驚いた。
Xさん『なにか美味しいものを食べに連れて行ってくれませんか?』
私 『いいですよ。なにを食べたいの?』
Xさん『なんでもいい』
私 『それでは困る。和・洋・中華・イタリアンのどれかで言ってみて』
Xさん『じゃあ、中華料理をお願いします』

新緑の植え込みの向こうの「鶴の噴水」
このような事情でXさんと2人で中華料理を食べに行くことになった。
食後に日比谷公園の新緑の写真を撮ろうと思っていたので、新橋でランチと決めた。
東京BRTの中でXさんに聞いた。
私 『中華料理だと何がいいの?』
Xさん『ラーメンが好きだ』
私 『ラーメンは中華料理じゃない。では店に行ってからメニューを見て決めたらどう?』

真っ赤なツツジの向こうの「鶴の噴水」
私達は駅から近い中華料理の老舗である「新橋亭」に行った。
「まんぼう」が解除されてから店は賑わいを取り戻し、以前と同じくらいのお客の入りだ。
1500円のランチメニューの中から私は「アスパラと海老の塩炒め」、Xさんは「麻婆豆腐」を選んだ。
Xさんは体も小さいし、かなり痩せていて、少し前に病院に行った時に医者から『栄養失調気味です』と言われたほどだ。だから普段は小食なのだが、この日はなんとご飯をお替りしたので驚いた。
家に戻ってから中華料理店での撮影写真をメールで送ってあげたら、お礼のメールと共に『今日は楽しかったです。また美味しいものを食べに誘って下さい』とあった。よく分からないが愛すべき人である。

木々の間から見る「鶴の噴水」
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