【T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO】
10月4日から27日まで中央区を中心に「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」という写真のイベントが開かれていた。「T3」という意味は『アメリカの社会学者リチャード・フロリダが著書「クリエイティブ資本論」で提唱した都市に不可欠な3つのT「技術、才能、寛容性」の概念に由来している』ということのようだ。
「芸術の秋」は私には忙しい。都心では色々な無料のイベントが開催されるからだ。
このイベントは期間が長いので、なにも用事の無い時に見に行くことにした。

【東京スクエアガーデン】
最初は「東京スクエアガーデン」で、ここには常設のギャラリーがある。
写真展のタイトルは 「from I’m So Happy you are here」で、1950年代から現在までの作品に焦点を当て、さまざまな世代から26名のアーティストを紹介している。
展示写真は建物の外側のガラスに、横一列に並べた方法であった。
写真展のタイトルは写真集のタイトルと同じで、本の表紙の写真がビルに入る人の目を引く。
解説によると『この歴史的・現代的な作品集は、深く繊細な日常生活の観察、日本社会への批判的な視点・特に日本女性が担って来た役割への批判的な視点、そして写真という形式の実験と拡張という3つの主要なモチーフを織り交ぜて、より広範な考察を与えてくれる』とある。

「from I'm So Happy you are here」【TODA BUILDING】
次に「TODA BUILDING」に行ったが、ここはゼネコンの戸田建設が運営しているアートの拠点のようだ。HPを見ると『この場所にアーティストが集い、発信し、評価される、その仕組みの中でアーティストが人々の生きる源となる。そのようなアートによるまちのエコシステムの構築を目指し、様々なアートプログラムを展開し、京橋の賑わいと文化価値醸成に貢献します』とある。
ビルの中に入ると1階の吹き抜けから飾り物の螺旋階段が降りて来ていて、最初から気持ちはアートになる。エレベーターに乗り3階に上がると、有料の「ぜんぶ北斎のしわざでした展」をやっていた。
私の目的はそこではないので、案内嬢に聞いて奥に進むが分かり難い。
派手な画像が目に入ったので進むと、そこはトイレだった。その先の小さなドアから入るとギャラリーがあった。

【YANMAR TOKYO】
東京駅八重洲口の正面に見える「YANMAR」に、地下道を渡って見に行った。
なぜ「ヤンマー」という社名なのかが気になり調べてみた。
すると『豊作の象徴であるトンボ、その中の王様である「オニヤンマ」と、創業者の山岡孫吉の「ヤマ」をかけて命名した』とあった。
写真展は地下一階の広場に写真立てに飾られていた。
周りは飲食店や休憩場所になっている。
解説では『日本の文化の土壌を培うことを目指すプロジェクトにヤンマーが賛同し実現したエキシビジョン。開放的な空間に置かれた展示作品、また「T3Photo Festival」会期中に開催されるワークショップやトークイベントを通じ、現代の写真表現への新たな対話や考察を促します』とあった。

「東京ミッドタウン八重洲」
全部は紹介出来ないので、いくつか飛ばして「東京ミッドタウン八重洲」である。
ヤンマービルと東京ミッドタウン八重洲の間の広場に、目的の写真が飾られていた。
この写真は『世界的写真家スティーブン・ショアの作品で、ショアは日常の何気ない独自の視点で切り取り、色彩豊かに表現する写真家として知られており、日本での大規模展示は初の試みとなります』と解説にあった。
今までの何ヵ所かでは見に来ている人もいなかったが、ここでは3人くらいが熱心に写真を撮っていた。私はスティーブン・ショアという人の名を初めて知ったが、かなり有名な写真家らしかった。

【北地区再開発仮囲い】
今回の写真展で一番遠かったのは八重洲仲通りにあり、もう日本橋に近い。
この作品群は「TAKAKO Noel」の作で、タイトルは「Inner GARDEN」で、「北地区再開発」の工事中の仮囲いに貼られた写真だった。
解説には次のように書かれている。『生と死、魂はどこから生まれどこへ向かって行くかという、人間の根源的な問いをテーマに持つ。自身のメキシコでのシャーマニックな療法体験やユングの心理療法をもとに、現代社会の中で忘れられた神話を織り交ぜ、写真を通し人間の精神の浄化・癒しのプロセスを表現する。・・・』
『彼女の写真には夢の中のように精神を可視化した世界が繊細に映し出され、彼女自身の死生観が織り込まれている』とあるが、やはり私には難解だった。
アーティストは難解な文章を書くのが好きなようだ。

【八重洲ダイビル】
「八重洲ダイビル」はヤンマーのすぐ近くなのに、廻る順番で最後となった。
ヤンマーに行った時にはどうしてもこのビルが分からなかったので、最後にもう一度来て見付けた。2度目の時は地図をもう一度確認したら、すぐ分かった。
すると道路から地下へ降りる踊り場の目立つ場所に写真はあった。なぜ1回目に見付けられなかったのだろう? 写真のタイトルは「One Day, I Will」で、ヴァンサン・トレモー氏によるもので、「子供たちが将来なりたい職業の姿に扮した写真だった。
この日は京橋の図書館から歩いて12ヶ所のアート写真を見て、東京駅丸の内南口のバス停まで歩いた。
家に帰ってから万歩計を見たら「1万3468歩」も歩いていたので、足が痛くなったわけだ。
私に丁度良いのは5000~6000歩である。

(おまけの話)
【京橋エドグラン】
京橋の図書館に本を返しながら、「なにか面白そうな本はないか?」と探しに行った。
本を借り出し宝町で「喜多方ラーメン」を食べてから、いよいよ「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」の最初の会場に向かった。
1番目は「東京スクエアガーデン」で、ここは写真の常設ギャラリーがある。
2番目に行ったのはすぐ近くの「京橋エドグラン」で、行けば会場はすぐ分かると思っていた。
しかしいくら探しても分からない。地下一階の中央区観光情報センターに行って聞いてみた。係の女性も分からず、私の持参したパンフレットを見た。すると私には見えない小さな字で、「地下一階・大階段・時間は午後6時から」と書いてあった。
ここは写真ではなく映像なので、暗くなってから行うと分かった。

【TOKYO STATION INTERNATIONAL CLINIC】
東京ミッドタウン八重洲の向かい側辺りに、「TOKYO STATION INTERNATIONAL CLINIC」があるらしいと分かっていた。
ここはテレビニュースの特集で、時々、登場する外国人専用のクリニックである。
クリニックは東京駅の建物の銀座寄りの一番端にある。
係の女性も、看護師も、医師も英語が話せる。
やって来るのは日本旅行中に病気になったり、怪我をした外国人観光客たちである。私はガラス越しに中を覗いてみたが、その時は患者らしき人は見えなかった。
テレビ番組は面白くなるように編集するので、私はいつも大勢待っているのかと勘違いしていた。

【背骨 曲がってる?】
私が出掛ける時に、女房は言う。「もっと背中を伸ばして!ジジくさいわよ!」と言う。
そこで私は気が付いて、背を伸ばして廊下を歩いてエレベーターに向かう。
宝町で「喜多方ラーメン」を食べて、次の目的地に向かったら、路地の角に「背骨 曲がってる?」と嫌なことが書いてあった。
その文字を見て私は気が付き、その場所から背中を伸ばして歩いた。
ラーメンを前かがみで食べていたので、店を出た時に背中を曲げて歩いていたらしい。
外に出てまで、注意を受けるようになった。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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芸術品を見るという事はかなりのエネルギーを消耗する。私のスポーツジムの仲間で一人芸術家がいるのだが、誘われて見に行くが大層疲れます。芸術家集団がそれぞれの感性?に基づく作品を創作するのであるから、その感性に応えようと自分の感性をフルに使ってしまってその結果疲れるのだろう。感性の近い作品に触れるとホットする。だから私の芸術鑑賞は平易なものを好む。
これだけ多様な写真展を無料で見られるというのは、東京の文化度のレヴェルが高いということですね。
建設中の囲いの壁にアート作品を展示したり、緑の植物を這わせたりするのも、アート志向スピリット無くしてはできません。
しかし、それよりも、そんな作品や展示物(植物も含めて)が落書きや盗みや破壊されない日本という国の基本的モラルやエチケットに感嘆せざるをえません。