【エンディング産業展2025】
9月10日(水)と11日(木)の2日間にわたり、東京ビッグサイトで「エンディング展 2025」が開催された。エンディングと英語で洒落てはいるが、要は葬儀関係の展示会である。
この産業展も事前登録では「個人」で登録して、入場証を手に入れて9月10日に出掛けて行くことにした。
日本は高齢化社会になっているので、エンディング産業展のみならず、最近は「エンディング・ノート」とか、「終活」、「家族葬」などの言葉をよく聞くようになった。
また葬儀も簡素化してテレビでは「小さなお葬式」が宣伝されている。
もう「死や葬式」という言葉が、大っぴらに話せる時代になったのかもしれない。

展示会が近付いた頃に、主催者から再度、詳しい案内のメールが届いた。
そしてメール内容を確認して、私はまた場所を間違えるところを助かったのである。
私は展示会の開催場所を東京ビッグサイトと思い込んでいたら、今回は「有明GIM-EX」であった。
幸いに会場は東京BRTで、東京ビッグサイトの1つ手前の停留所だった。
最近は行動を起こすと、必ずなにか間違いを犯している。自分でも自分が嫌になる。
暑さのせいではない。

最初に申し込んであった基調講演、「都市火葬場から見えるエンディング産業の現状と課題」を聞いた。
講師はこの「エンディング産業展」を企画した「東京博善」の社長だった。
葬儀関係の講演も聞いてみれば、知らないことばかりだ。
「日本における死亡者数の増加のピークは2038年で、東京は2065年」、「他府県では火葬待ちが起きているが、東京とはピーク時でも大丈夫」、「葬儀社の平均社員数は4人以下」、「業界では人手不足が深刻」、「家族葬が増えて、単価が下落」など、聞かなくてもいいような話を、35分間も聞いてしまった。

基調講演の最中に、どこからかうるさい太鼓の音がした。
講演を終ってから音のする方に行ってみたら、「九宗派による合同法要」が行われていた。会場の外から見ていたら、係員に誘われたので会場内に入った。
一番前の椅子に座り、宗派の違う僧侶たちの読経を聞いた。
宗派により法衣も違う。私の菩提寺である築地本願寺は浄土真宗で、坊さんは髪を伸ばしているからすぐ分かる。

読経が終ったので、また会場内に戻った。
出展者は必ずなにか葬儀に関係した業者なので、会場内はなんとなく静かだ。
大きなブースを借り切って、棺桶を展示している業者、死装束を並べた業者、立派な仏壇業者、骨壺だけを並べた業者、祭壇を飾る花の業者、返礼品の業者、相続関係の会計事務所など、なんでも出ている。
そんな中に見知った人を変った墓のブースで見掛けた。私は直接は知らないが、youtubeで見る男だ。その人の名は旧皇族・竹田宮家出身の「竹田恒泰氏」で、「前方後円墳」の墓を売る会社を経営している。
彼はマルチな才能を持ち、政治評論家、作家、大学非常勤講師、利尻昆布ラーメン屋、教科書会社、金融業などを経営している。

会場内を見て廻っても、なんだか明るい気持ちにはならない。
そんな中でただ1ヵ所、私が興味を持ったブースがあった。
そこは「移動式動物火葬炉」の展示だった。
小型のワゴン車に火葬用の炉を積んで、呼ばれたら家まで行ってその場で火葬する。
我が家は今までに何度か犬と猫の火葬を行っているが、その時はいつも府中市まで車で遺体を運んだ。いまは車も無いので、これは助かると思いカタログをもらって来た。

午後2時から「デヴィ・スカルノ生前葬」というイベントがあったので、面白そうだから事前に申し込もうとクリックした。
すると私の申し込みは早かったのに、もう「満席・締め切り」になっていた。
「デヴィ・スカルノ」の生前葬では、芸能人の神田うの、はるな愛が弔辞を読むらしい。
このイベントは、なんと無料らしかった。
他には色々な講演会が企画されていて、有料のものもいくつかあった。
業界人以外は名前を知らないような人の講演参加料が、1万円とは高くないか?
他のどの講師の講演も、前日になってもまだ締め切りになっていなかった。

家に帰って来てから、この展示会に付いて詳しく調べてみた。
すると主催者は「東京博善」で、都内で6ヶ所の火葬場と斎場を経営している会社だった。
東京都は他県と違い、全火葬場9施設中7施設を民営が占め、東京博善は6施設とほぼシェアを独占している。
この会社は都内の斎場をほぼ独占していて、公営の斎場はたった2ヵ所しかない。
更に困るのは関連会社には中国資本が入っていて、競争相手がいないので火葬料を値上げに続く値上げを行っている。
博善の年商は146億円、年間純利益に36億円の優良企業だった。

(おまけの話)【なんとなく、仏教】
図書館で目に付いた「なんとなく、仏教」という本を借りて来た。
著者は曹洞宗の僧侶で、易しく面白く宗教を取り上げている。
日本人に『宗教を信じていますか?』と聞くと、70%以上の人が『いいえ』と答えるそうだ。
では『宗教を信じる心は大切だと思いますか?』と聞くと、やはり70%の人が『はい』と答える。外国人から見ると「日本人は宗教心が無い」ように見えるが、果たしてそうだろか?

お正月には門松を飾り、神社やお寺に初詣に行く。彼岸にお墓参りに行く。葬式には僧侶を呼ぶ。お祭りも大好きで、神様の乗った神輿を担いで練り歩く。
困った時には「神様、仏様」に「助けて」とお願いする。
でも宗教を信じているわけではない。これが日本人の宗教観の「なんとなく」なのである。
外国の宗教は一神教だから他の宗教は邪教になるが、日本は八百万の神で多過ぎるくらいだ。面白いのは日本では口やかましい妻を「山の神」と言うし、サッカーの神様、神の手を持つ外科医、神がかり、仏様のような人などと言う。
ここでも神様と仏さまは分けている。「サッカーの仏様」とは言わないのである。

30年以上も前のことだが、私が親しくしていたLさんという台湾人が亡くなった。
その知らせを受けて、私は女房と一緒に台中の家に急いだ。
台湾は暑いので遺体は冷凍庫に入れられていて、私が到着すると電源を切った。
翌日は広い自宅の庭で葬儀が行われ、子供たちはゴザで出来た服を着て、這って棺桶の前に進み出た。葬儀の後は花で飾られたトラックに楽隊が乗り、演奏をしながら墓地に行った。土葬である。
帰って来てから同じ庭で料理人を呼んで、精進料理を作らせた。私はこの時に初めて中華の精進料理を食べた。これを中国語で「素食」と言うが、思ったより美味しいので驚いた。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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プール仲間の女性が水泳中に脳溢血を起こして数日後に亡くなった。北朝鮮から来た在日二世で焼肉店を経営して大成功を収めた人であった。朝鮮の葬式は簡素で僧侶のお経も無いが、多くの親族が集まり明るい雰囲気すら感じた。一般葬であったが家族葬の雰囲気が良かった。喪主の長男の氏名と本人の氏名が違ってたが、それは「家」の葬儀でなく「本人」の葬儀であるかららしい?
私も自身名義の家族葬を望んでいる。
博善の年商は146億円、年間純利益に36億円、ということは、競争相手がなく、このまま行けばクライアント(死者)が無くなることがないので、安定した商売ということになりますね。