「ゆりかもめ」と聞くと、いまでは多くの人が「新橋から出ている電車」と思う。
この電車は「東京臨海新交通臨海線」というのが正式名である。
港区の「新橋駅」から江東区の「豊洲駅」までを結ぶ、㈱ゆりかもめが運営する自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT)路線である。
しかし私にとってはこの鉄道の名前に付けられている「ゆりかもめ」は、電車ではなく渡り鳥を連想する。

並んで日向ぼっこをする「ユリカモメ」
天気が良く気温も20度を超えた日に、図書館の帰りに佃の住吉神社とリバーシティ21に行ってみた。リバーシティ21の先端で、上流から流れて来る隅田川が分岐する。
その場所は秋から春先まで、いつも「ユリカモメ」が見られる場所だ。

「ユリカモメ」というのは「カモメ」の一種で、10月下旬から11月上旬にシベリアやカムチャッカ方面から渡来し、4月頃まで東京湾、隅田川、多摩川などに群れをなして見られる渡り鳥である。食物は他のカモメと同様に雑食性で、小魚や昆虫を採食している。
体の大きさは40センチくらいで、羽を広げると93センチにもなる。

姿が似ている鳥に「ウミネコ」がいるが、やはり「カモメ」の一種である。
この鳥は渡り鳥ではなく、1年中、見ることが出来る。
体の大きさは「ユリカモメ」より少し大きく、羽を広げると120センチにもなる。
その鳴き声が猫に似て「ミャーオ」と鳴くので、「ウミネコ」と名付けられた。

「ユリカモメ」は足とクチバシが赤い。
暖かい日差しの中で、ぼんやりとユリカモメを見ているのも心が安らぐ。
私とのユリカモメの間には10メートル以上の間隔があるので、警戒心の強い彼らも安心しているようだ。突然、なにかの拍子に一斉に飛び立つ。
しかしまたすぐに戻って来て、柵の上に並んで休む。
多分、彼らはなにかを危険と勘違いしたのかもしれない。

「ユリカモメ」は日本では巣を作ることはほとんど無いそうだ。
人家に巣を作ったり、フンで汚したりという他の害鳥のような被害は無い。
また警戒心が強いので、人に攻撃をする可能性も無いそうだ。
時々、水路を行く船が通るが、彼らは全く関心を寄せず無視している。
「ユリカモメ」は「都鳥(みやこどり)」だと初めて知った。
平安時代の歌人「在原業平」が歌った「名にい負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしや」が有名である。
平日の午前中なので、ここを通る人もほとんどいない。
私と「ユリカモメ」と、時々、通り過ぎる船だけである。
全く「平和」とか「平穏」を感じるが、世の中や世界は大混乱の最中である。
引退して20年以上も経つのに、「こんなことをしていていいのだろうか?」と思う時がある。
明日は京橋税務署から指摘を受けた確定申告の誤りを訂正して、再提出に行く予定だ。
そんなわけで、私には一瞬の平安だった。

隅田川を定期遊覧船「卑弥呼」が浅草に向かって行く。
(おまけの話)
「ゆりかもめ」はいつもい柵の上に止まっていて、地面には降りて来ない。
降りるのは水上で、餌を捕らえているのは見たことが無い。
汐の引いた岩の上を「ムクドリ」が餌を探して歩いていたが、なかなか餌にあり付けない。水路には「カワウ」がいて、潜っては小魚を咥えて上がって来る。
毎回、小魚が捕れるようで、失敗が無いところをみると、川には多くの小魚がいるようだ。

「ムクドリ」が餌を探す
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